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2016年3月27日日曜日

[REVIEW] CASIO Smart Outdoor Watch WSD-F10 を iPhone とペアリングして使ってみる

3月25日、遂に発売開始されたカシオのスマート・アウドドア・ウォッチ WSD-F10。通常のスマートウォッチに加えて、カシオが得意とするアウトドア機能満載の WSD-F10 は、Android スマホと連携することによって、多くの CASIO 純正アウトドア・アプリを利用する事ができる。しかし残念ながら、GPS を連動させねばならないアプリの多くは、Android アプリだ。当方もいずれは Android と連携させてフル機能を堪能しようと思っているのだが、まずは普段使いの iPhone 6s Plus とのペアリング(接続は Bluetooth 経由)で、何がどこまで出来るのか、どの機能は使えないのか、をチェックしてみたい。

機能チェックの前に、まずは外観。Apple Watch を見慣れた目にはやや大柄で厚め。大きさは CASIO の GPS G-SHOCK / ProTrek クラスで、厚みがちょっと薄い程度だ。しかし重量的には、見た目より軽い。GPS G-SHOCK GPW-1000 シリーズの重さは 126gWSD-F10 のバンドを含む重さは 93g しか無い。Apple Watch ステンレススチール 42mm の重さは 90g (ブラックスポーツバンド含む)なので、重さ的に実はほぼ同じ。大柄に見えても軽く感じるのは、こうした数値に現れる部分なのであろう。大きさ的には G-SHOCK GPS クラス、重さは Apple Watch 42mm ステンレスとほぼ変わらず、なのである。

Apple 等と比較しよりシンプルで環境に配慮された作りの紙箱を開けると、同梱されているのは時計本体、充電用丸型 USB ケーブル、そして USB 用の 5V-1A AC アダプター。USB 対応なので、スマホ用のモバイルバッテリーでの充電も、このケーブルがあれば可能だ。同梱の説明書はシンプルなので、詳細はネットマニュアルで読んで、あとは使いながら覚える方が良いだろう。

本体のスイッチをオンにすると、スマホとのペアリングの前に 50% 以上の充電と、Android Wear アプリをスマホでダウンロードする様に促される。まずは充電。丸い充電端子形状はユニークだ。5気圧防水で、時計側も金属が露出しているが蓋は必要なく、そのままマグネットで装着すれば良い。磁力はそこそこ強力だが、何かが触れると外れる事もあるので、夜間の充電時には不用意に外れない様に上から刺すなど、注意が必要かもしれない。充電端子の横にあるのは、センサーだ。これも最近のカシオらしく、出っ張りが少ないミニマムな形状で好感。

充電はフル充電まで2時間と、比較的短時間で済む。文字盤10時の上あたりに小さな LED がまずは赤く点灯、緑色に変わるとフル充電完了だ。次はスマホとのペアリング。 iPhone (iOS) の場合にはもちろん、iOS 対応の Android Wear アプリをダウンロードして繋ぐ事になる。アプリの指示通りに進めると、サクサクと Bluetooth でペアリングは完了。ちなみに WSD-F10 は Bluetooth だけでなく、WiFi も内蔵し、 802.11b/g/n に準拠している。そのあたりの理由は Android Wear のヘルプ、にて。

さて、ペアリングが終了したところでいよいよ利用開始。以前他社製 Android Wear も使っていたので、操作に迷いは無い。画面が広くなった分、フォントの文字も大きくなり(ちなみにフォントの大きさは3段階から選べる)、液晶輝度も高く非常に見易い。当方も Apple Watch を始め各社の Smart Watch を利用して来たが、最高水準と呼べる見易さだ。そしてデジタル時計の老舗、カシオらしさは、同社独自開発の Watch Face にも。一目でパッと時間がわかる文字盤デザインはさすがカシオ。「オーセンティック」、「2レイヤー」といった同社独自のウォッチフェースは、時計の色に合わせて色も変えられるが、オレンジが一番美しい。(個人の感想です。)時計本体のカラー選びも、この文字盤の鮮やかさとのマッチングの良さで、オレンジに最終決定した次第。充電状態やバロメーター、24時間計、曜日・日付も、「オーセンティック」(写真)ではアナログ時計的に配置され、抜群に視認性が良い。

Apple Watch との一番の違いは、既報の通り、カラー、白黒の液晶2層構造になっていること。そして、文字盤常時点灯も可能なので、時計らしさがスマートウォッチでも復活していること。アナログ時計ファンとしては、完全にブラック・アウトしてスリープしている状態の腕時計文字盤は、電力消費を抑える為とはいえ、やはり気持ちが良いものでは無い。Apple Watch を使い始めての違和感は、そのあたりにもあった。WSD-F10 に乗り換えて、そこは払拭された、と言って良い。設定で「常に画面表示 ON」を選び、文字盤を常時表示しても1日電池が持つ。



その設定を OFF にして、スリープ時のみ白黒液晶表示にすると、2.5 日稼動。さらに Android 機能を完全オフにして白黒液晶表示のみの「タイムピースモード」を選ぶと、1ヶ月以上も電池が持つのである。ちなみに、白黒表示にするとバックライトがオフになるが、太陽の下では右写真の通り反射で非常に明るく表示される。映画館や静かな会議の時にはシアターモードを選んで、一時的に通信機能を切って白黒液晶表示のみにすることも可能だ。詳細はこちらの説明ご参照。電池持ちへの工夫も、カシオが培った技術が凝縮されている。Android スマートウォッチとしては高価な部類の WSD-F10 だが、二重液晶装備とそのメリット、さらには各種カシオらしいアウトドア・アプリの付加価値を考えると、アウトドア好きな方々には受け入れられるのでは無いだろうか。

そして本題、iPhone ユーザーが使える機能と使えない機能。一覧は CASIO 作成のこの比較表を見て頂き度い。アプリとして 「GPS を活用する」、日の出日の入り、タイド(潮位)グラフ、活動グラフなど、カシオ独自アプリが使えない事に加えて、Android Wear の純正アプリが残念ながら使用出来ない。種類豊富な Watch Face などはダウンロード出来るのだが。

一方、地磁気・圧力センサーで稼動するコンパス、気圧計、高度計は iPhone ユーザーでももちろん利用可能だ。CASIO 利用歴が長い当方が注目したのは、高度計の微調整のしやすさ。

高度計は気圧変化から高度を読み取るので、その日の天気の変化等で、常に数字が上下し、これまでのトリプルセンサー内蔵の ProTrek でもあまり実用的でない事が多かった。しかし WSD-F10 では、高度計を右側面上側の TOOL ボタンから選んで、さらに画面を左に二回スワイプすると、高度微調整画面が現れる(写真)。現在の高度に合わせて下部の矢印ボタンのタッチでケタ数ごとに数字を調整すると、比較的高度の近似値が気圧変化からでも表示される様になる。画面が大きくタッチ液晶であるからこそ、これまで有った高度計の様な機能についても、使い易くなっているという好例である。ちなみに、右側面下の APP ボタンを押すと Andoroid アプリが立ち上がり、真中を押すと選択しているウォッチフェースの時計表示になる。さて、問題の Android アプリ。

標準アプリの Google 検索(時計前バンドの上にマイク有り。OK Google、で起動)、天気、歩数計、ストップウォッチ、アラーム、タイマー、予定リスト、ライト....といったところは使える。もちろん、iPhone からの通知も、バイブレーションとともに表示される。これまで Apple Watch と iPhone の連携で、実用的に使っていたのは通知機能と歩数計ぐらいだった、という向きには、実は iOS 用 Android Wear アプリ経由のこの使い方でも、日常生活では問題さそうだ。

Apple Watch が同じ重量のまま大きく見易くなって、かつ5気圧防水にも対応してトリプルセンサー付き。電池も長持ち。時計常時表示。そういう使い方にメリットを見出せるなら、iPhone 連携だけでも十分満足して使える印象だ。

iPhone から通知が入ると、時計盤下部が通知でマスクされてしまうが、スワイプするとすぐに時計表示に戻る。

種類豊富なリストバンドの着せ替えを楽しんだり、iOS アプリ連携を活用したいならもちろん Apple Watch を購入した方が良い(ちなみに本機のリストバンド変更は Apple Watch ほど簡単では無い)のだが、アウトドア用の G-SHOCK ProTrek に SmartWatch の基本機能、的な使い方で済むなら、WSD-F10 と iPhone の組み合わせも悪くはない。しかし、CASIO 渾身のアウトドア用 GPS 連動 Android アプリを存分に使うなら、Android スマホとの連携は必須になる。しばらくは当方も iPhone 6s Plus と組み合わせて「文字盤が消えない大型/防水 基本機能付き SmartWatch」として WSD-F10 を活用するが、そのうちに Android スマホとも連携させてみたいと思っている。

まだまだ黎明期の SmartWatch 市場だが、その中でも異色の、デジタル時計で歴史を持つメーカー・カシオが G-SHOCK / ProTrek で蓄積したアナログ魂を注入した WSD-F10 は、アウトドアが楽しくなるこれからの季節、おおいに活用出来そうだ。

発表当初は、価格の高さもあり、 iPhone ユーザーとして導入すべきか迷っていた本機だが、たまたま量販店の売場に CASIO の開発担当の方が居られて詳細に説明を受け、実物の質の高さを確認して、購入に踏み切る事が出来た。

ボタンの質感等も含めて、なかなか良く出来ている。カラーについては当初はブラックを考えていたが、アウトドア用時計ならではのカラフルさを求めるのも悪く無い。発売店舗はまだ限られる様だが、是非店頭で実物に触れてみて頂き度い。

余談だが、WSD-F10 を利用開始した昨日、不思議なことにこれまで快調に動いていた Apple Watch が突然、充電すると熱くなり、デジタル時計表示のみでリセットも不可能、というクリティカルな状態に陥った。Andoroid Wear を使い始めたオーナーに拗ねてしまったのだろうか。いずれにせよ修理に持ち込まねば。



















2016年3月19日土曜日

[REVIEW] Panasonic Lumix TX1 はスマホにもう一台加えるべき 1インチ CMOS トラベル・デジカメ決定版

このデジカメも、CP+ 2016 で登場し気になって、結局またいつものわが町のカメラ店で導入決定した一台なのだが、1インチ CMOS コンデジの Panasonic Lumix TX1。Panasonic らしく、4K Photo / Video の機能はもちろん、EVF (電子ビューファインダー)は 116万ドットのポップアップ不必要な内蔵型。25-250mm と無理をしない LEICA VARIO-ELMARIT の10倍ズーム・レンズに、ハイブリッド5軸の Power O.I.S. 手ぶれ補正。1/16,000 秒と秒間 50コマ連写を備えた電子シャッター。ともかく機能はてんこ盛り。書ききれないので、詳細はメーカーの機能説明ページをぜひ。

これだけ備えて装備重量 310g はとても軽い。最近、出張や旅行に出かけても、その手軽さからスマホだけで写真撮影機会の大半をカバーしてしまう事が多いのだが、スマホの苦手領域は3つ。望遠撮影、夜間撮影、瞬時の露出補正。これを補完するカメラなら、出先で常時持ち歩く価値がある。望遠は 250mm まで効くので言わずもがな。夜間撮影は、スマホで改良は見られるものの、まだ暗がりではノイズが乗りやすい。LED ライトも、本格カメラのフラッシュと比較すると使いにくい。そして意外に重要なのは、最後の露出補正。

「iPhone だって最近の iOS なら、撮影対象にピントを合わせてその横を指でなぞればすぐ暗さ・明るさを調節できるでしょ?」というあなたはかなりスマホを使いこなしている。その通り。一方で、スナップ撮影をしていると、この操作はやや面倒かつ、撮影の集中力を欠いてしまう。EVF を覗き込んで画面で光量を確認しつつ、露出補正ダイヤルで瞬時に補正量を変える、という使い方は、デジカメを活用する上でアナログカメラと違う使い方ができる大きな利点。TX1 は、この使い方が出来る。

おすすめの設定は、MENU ボタンを押して、カスタム - リング/ダイヤル設定 - そこで図示される後ダイヤル(シャッター斜め右後ろの大きなダイヤル)を露出補正専用にする事。これで、OLYMPUS PEN-FFUJIFILM X70 等と同じく、右親指のかかるダイヤルで瞬時に露出補正がすべてのモードで行える様になる。更に TX1 が良いのは、露出補正がデフォルトで上下5段まであること。この補正の広さとダイヤル操作を組み合わせると、幅広い光量条件での撮影が行える様になる。PEN-F や X70 の、プラマイ数値が記されたアナログ補正ダイヤルだけでは、表示面積の限界から上下3段がデフォルトになっているので、それ以上の使い方が TX1 では出来る事になる。

例えば、月の表面を撮影する時には、補正をマイナス5段まで行うと、月表面のディテールを撮影時に確認できる。ズーム望遠端は10倍(250mm) なので、月を撮るには弱く見えるが、1インチ CMOS なので、撮影画像をトリミングしても結構使える画像になる(左のスクエアに切り出した写真、ご参照)。1/2.3 インチ CMOS で30〜40倍ズームのカメラも良いが、CMOS 面積が4倍になる 1インチ CMOS の本機なら、そういう使い方も出来る。Panasonic の m4/3 の最新ミラーレス上級機同様に、EVF を覗きながら、背面液晶を指でなぞる事で、EVF 上の AF ポイントを移動させられるのも便利。EVF 利用が、本格的に行えるコンデジなのである。

f2.8 通しの明るいレンズを備えた Lumix FZ300 も優れたデジカメだが、筐体が大きいと結局あまり持ち歩かない。TX1 に乗り換えてしまった理由はここにある。


ルーキー Panasonic TX1 を採用すると、デジタル・ベアーズ1軍の現在のコンデジ主力選手、FUJIFILM XQ2FUJIFILM X70 が不要になってしまうのでは!?という恐れもあったが、さにあらず。より小型・軽量の XQ2 は常時通勤カバンに入れて置くのも可能で秀逸なドリブラーのミニ・コンデジ、X70 は APS-C CMOS と単焦点 28mm レンズでここ一番を決める撮影をしたい時のワイド・シューター。ただ、1週間以上の、荷物を減らしたい出張や旅行に「スマホ以外のカメラを1台だけ持って行こう」、となると、オールマイティな TX1 が選択される可能性が高くなりそうである。

とりあえず、TX1 で撮影した写真は、こちらの flickr album に追加して行くので、御参考頂ければと。

[その他の TX1 作例写真(クリックで拡大)]

























































































[REVIEW] SIGMA 30mm f1.4 DC DN 大口径レンズのマイクロフォーサーズ用 Sample Photos

2月に横浜の CP+ 2016 で見て気に入った SIGMA のマイクロフォーサーズ用で明るい標準・単焦点レンズ、SIGMA 30mm f1.4 DC DN が早くも近所のカメラ店店頭に。

最近は CP+ で触って気に入った製品が、その1年の主力選手としてデジタル・ベアーズで活躍するケースが増えた。言うなれば CP+ はカメラ・レンズメーカー合同トライアウト。厳しいテストを経た本物の選手が、最終的に入団を決める。

f1.4 と大口径ながら、重さは 265g と超軽量。フィルター径も 52mm と手頃だ。手にしてみると、想像よりも軽いことに嬉しくなる。フルサイズの SIGMA 単焦点レンズは 24mm f1.4 DG を普段 EOS 6D に装着して利用しているので、並べてみると、そのコンパクトさに納得。本レンズは、"A " (ART) レンズの様な高品質さを備えているが、分類としては "C" (Contemporary)。しかしその疑問は、山木さん自らの CP+ での説明から明快になった。

マイクロフォーサーズ規格では、小型システムが故に必ずデジタル的に画像の歪み等を補正する動作が入る。すべてを光学的に処理するレンズに与えられる称号が ART なので、マイクロフォーサーズ対応レンズは C になる、という説明だった。なるほど。

前面の一番大きなレンズは、某カメラ店の方曰く「これを見ているだけでお酒飲めそう」な肉厚でマルチコーティングな輝きを妖しく放つ、SIGMA 会津秘密工場直送の仕上がり。眺めていると、これはアウトドア・シューティングに連れ出さざるを得ないオーラを発しているのが良くわかる。という事で OLYMPUS PEN-F との組み合わせで撮影した作例写真をいくつか。f1.4 大口径のボケ味が m4/3 でもきっちり出る事と、SIGMA らしい精緻な解像力、夜間撮影でのパフォーマンスに注目頂きたい。

[作例写真その1]


















[作例写真その2]


















[作例写真その3]


















[作例写真その4]


















[作例写真その5]


















[作例写真その6]


















[作例写真その7]




















さらに多くの作例写真は、こちらの flickr album に貯めて行くので、御覧頂ければ、と。

これまでマイクロフォーサーズで標準 f1.4 レンズと言えば、当方的には Panasonic LEICA DG SUMMILUX 25mm f1.4 に勝るものが見つからなかったのだが、Pana-LEICA のこのレンズは、OLYMPUS のボディに装着するとなぜか絞りがカタカタ動く、という謎の不具合で最近は使っていなかった次第。この不具合は改善されたのかな?

いずれにせよ SIGMA 30mm f1.4 DC DN、凄く良いレンズ。気に入った!!





2016年3月13日日曜日

[REVIEW] PEN-F と Pana - LEICA VARIO-ELMAR 100-400mm 超望遠ズームで新宿御苑の春鳥を撮る(実践編)


デジタル・ベアーズ1軍チームに有望超望遠ズーム・レンズの Panasonic LEICA DG VARIO - ELMAR 100-400mm f4-6.3 ASPH を配備したものの、シュート・チャンスを与えねばその実力を図りかねる。なにしろ 200-800mm 相当のロング・シューターなので、遠い被写体を選ばねば意味が無い。たまたま新宿へ、公開されたばかりの映画「エヴェレスト 神々の山嶺」を見に行った(余談だが、主人公が操るカメラは当方も特別な想いを抱く Canon F-1 だ)その帰り、早速フィールドへ、ということで、小雨がぱらつく新宿御苑へ。

元は内藤家のお屋敷だった東京都心では珍しい広大な敷地を転じた植物公園は、遠景の被写体に恵まれている。超望遠レンズを試すにはもってこいの場所だが、当初は「遠くに見える新宿の高層ビルと苑内の花でも写すかな」位の気持ちで訪れた。

少し雨がぱらついて曇っていた事もあり、超望遠を試す絶好のコンディションとは言い難い撮影条件。しかし早咲きの桜が咲いているところに、春を告げる小鳥たちが集まっているのを発見し、題材を決めた。

そうだ今日は、野鳥を中心に撮影しよう、と。OLYMPUS PEN-F に、やはり OLYMPUS製のオプション、 EE-1 を装着し、苑内の木から木へと、花咲かクマさんの如く撮り歩く事に。

実質 200 - 800mm の焦点距離となる本ズーム・レンズの画角は、12 度から 3.1 度とかなり狭い。せっかく木の上に小鳥を見つけて手持ち撮影で臨んでも、EVF (電子ビューファインダー)を覗きながら探すとファインダー内に撮影対象が収まらない事もしばしば。そこで威力を発揮するのが EE-1 ドットサイト照準器である。まずは準備用の被写体を見つけて、EE-1 の蓋を開け、現れた光学ファインダー上に赤い LED で浮かび上がるターゲットマークを、背面液晶画面に映る撮像を見ながら、上下左右にダイヤルで動かして微調整。それが被写体とマッチしたところで調整完了だ。

撮影手順は、木の上に鳥を見つけると、まずは EE-1 でターゲットを抑え、そこで定まった角度のまま EVF を覗くと、無事被写体が EVF 内に収まっている、という寸法だ。もちろん背面液晶にリアルタイムで被写体を映せば、そのまま EVF を覗かずに撮影も出来るが、当方的には EVF で見る方が、額でカメラを固定できる事もあり、より安定かつファインダーに集中して撮影出来るので、この段階を踏む方法で撮影している。VARIO-ELMAR の様に、手持ち撮影可能な超望遠レンズで機動的に被写体を追う場合、EE-1 との組み合わせは非常に有効なのである。

手持ちでも、VARIO-ELMAR の POWER O.I.S. のレンズ側手ぶれ補正は、しっかり効いていて、EVF を通じて安定した画像を確認出来る。レンズ側面のスイッチで POWER O.I.S. を OFF にすると、今度は PEN-F 側の5軸手ぶれ補正が稼働し、いつもの「サー」音が聞こえ始めるのだが、POWER O.I.S. の場合はほぼ無音で動作するので、静かな場所ではレンズ側で補正した方が良さそうだ。この様に手ぶれ補正は、メーカーが異なる分、レンズのみ、或いは本体のみ、となるのだが、相当暗い場所でなければレンズ側のみで十分その効果は享受出来る、ということが、曇天の新宿御苑で良く理解出来た。最短撮影距離 1.3m を活用すると、接写を行う事すら可能だ。背景のボケ具合も良い塩梅、である。

苑内で木の上の鳥を撮影する際に気をつけたのは、シャッタースピードと、背景が曇天とはいえ明るい空なので、露出補正をプラスに振って、その効果を EVF で確認しつつ撮影した事。そして、花の蜜を吸う鳥の動きの次を読んで待ち構えるシャッターチャンスの狙い方。

動画で確認すると良くわかるが、メジロなど蜜を吸う小鳥の動きは秒速で変化する。これを画面で止めるには、動きを先読みしながらの撮影が必須となる。また、EVF では決定的シーンが見えた瞬間にシャッターを押しても次の瞬間が撮影され、遅延を実感する事が多い。シングル撮影でやや先読みしつつシャッターを早めのタイミングで押すか、高速連写を数秒ずつ小刻みに使う撮影も有効であることが良くわかった。

以下に、新宿御苑の鳥達の写真作例を。Detail がわかる様に大きめの写真で。

[シジュウカラ]




















[メジロ]






















[ヒヨドリ]












[マガモの雌]









[カイツブリ]

[千駄ヶ谷門で見送ってくれたヒヨドリ]











その他の作例写真は、こちらの flickr album をご覧頂ければと思います。