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2016年6月20日月曜日

[Review] HUAWEI P9 は LEICA アナログレンズのソフトウェア化を進める尖兵スマホだった

いつかは来るだろう、と想像していたカメラの近未来が、予想よりも少し早く到来してしまった。その突然の登場は、カメラ好きにとっては、Google に買収された DeepMind 社の人工知能囲碁プログラム AlphaGo が囲碁名人に勝ってしまった時に近い衝撃、と言っても過言では無いのかもしれない。

LEICA の伝統的な人気アナログ・レンズ、SUMMARIT (ズマリット)の LEICA らしいボケ味を、ソフトウェア的に実現してしまった。いつか LEICA の著名レンズ(SUMMARIT、SUMMILUX、ELMAR、SUMMICRON、NOCTILUX.....)の光学的特徴を、デジタルでリアルタイムに模倣するソフトウェアが開発され、「LEICA レンズがソフトウェア化する」未来が訪れる様な気がしていたが、それを LEICA 自身が先へ進めてしまったのだ。

HUAWEI P9 は、中国の HUAWEI 社とドイツの LEICA 社共同技術開発の、LEICA SUMMARIT 27mm f2.2 レンズが搭載され、カメラ機能が洗練された 5.2 インチ Android スマホである。

発表時に Dual Lens を備えた本端末を初めてメディアで目にした時には、てっきり 3D 撮影機能でもあるのだろうか、と思い込んでいたが、違った。二つのレンズは、正確な測距目的と、RGB のカラー CMOS センターが取り込む色の情報と、白黒専用 CMOS センサーが取り込む光と影の情報を分離するところに目的があったのだ。

この二眼の仕組みにより、焦点が合った部分の正確な把握が出来る様になり、それを利用して合焦されていない部分を人工的にぼかして、デジタル一眼レフの様な写真の仕上がりを可能としたのである。

カメラ以外にも、背面からの液晶操作機能まで備えた指紋センサーや指関節のタップ やジェスチャーを利用した操作機能など、各種先進機能を備えた最新スマホであるが、デジクマ・ガジェットレビュー的にはあくまで、カメラ機能に 限って見ていく事にしたい。

P9 という超薄型カメラ(あえてスマホとは呼ばない)は、購入時から LEICA との共同開発をアピールする。固めの 紙で成型された純白の箱の表面には、赤い LEICA ロゴと金色の製品ロゴが踊る。中に入っているのは本体と、USB Type-C の充電器とケーブル、そしてプラスチック製のクリアケース。まだあまりケースの種類が多く無い P9 なので、ケース付きで提供されるというのは有難い。

起動すると、まずはカメラ性能のチェック。マニュアルを読まずとも、複雑な機能を直感的に操作できるユーザーインターフェースには、カメラとスマホの専門2社のハイブリッド技術開発による工夫が感じられる。重要なのは、カメラとしての操作がカメラ中上級者でも満足出来る様に、充実している点。

液晶画面を上下左右にスライドすると、必要な機能が全て出てくる。その中でも重要なのが、画面を下から上にスライドすることで現れる Pro メニュー。測光モード、ISO、シャッタースピード、露出補正、AF 切り替え、ホワイトバランスを細かく設定出来る。そして、その操作もリアルタイムでサクサクなのである。スマホでここまで細かくカメラ設定出来る機種は Panasonic Lumix CM1や Nikon など一部のデジカメハイブリッドモデルにしか無かったのだが、ついに LEICA がそれを実現した。そしてその実現の仕方にかなりの本気が感じられて、驚いたのである。

HDR、白黒撮影、パノラマなどの撮影モードは、左から右へスワイプするとメニューが現れる。そしてさらに細かく、フィルムシミュレーションや解像度、RAW設定、水準器設定などを行う時には、右から左へスワイプすると設定メニューになる。

そして、本機で一番特徴的な擬似絞り設定機能「ワイドアパーチャ」は、Pro メニューではなく、通常の撮影画面上部左から二番目、に絞りマークのアイコンとして置かれている。頻繁に利用される機能ということで常時表示されているのだろう。実際、本日の作例写真撮影で最も多用したのは、この機能であった。

以下の作例では、最初の写真は f16 相当で全体にピントが合い、次の写真では f0.95 相当としてデジタル的にピントが合う範囲が狭い、撮影対象をくっきりと浮き上がらせる写真となっている。このカメラの実力は、これらの写真の対比から知る事が出来る。

尚、以下の写真以外にも多数、白黒写真を含め作例写真は flickr album に撮り溜めたので、こちらを参照頂きたい。デジタル化するレンズの実力を理解頂けるはずだ。

<f16 相当>



















<f0.95 相当>





















<f16 相当>
















<f0.95 相当>

















<f16 相当>




















<f0.95 相当>