Translate to your language.

2014年10月27日月曜日

[レビュー] Canon PowerShot G7X は気軽で堅牢な1インチスナップシューター

1-1.5 インチと大型の CMOS を装備した高級コンデジが、最近の小型カメラのトレンドになっている。iPhone6 などスマホのカメラの品質向上が著しい昨今、デジカメとしてはその上のクラスで生き残りを賭けるしかない。小型軽量でありながら、デジタル一眼に匹敵する高精細画像を撮影出来るカメラ。Sony CyberShot RX100 Mark III、Canon EOS M2、Nikon1 V3、RICOH GR、Panasonic Lumix LX100 (11月発売予定)....。魅力的なカメラがこのクラスに揃いつつある。

当方は RICOH GRNikon1 V3 Sony RX100 Mark III と使って来たがそれぞれに特徴があるカメラでどれも甲乙つけがたい。GR はリコーの明るい広角レンズの伝統が生きるハイアマチュア向け単焦点、V3 は Nikon1 シリーズの熟成された1台、RX100 M3 は見易い内蔵 EVF を装備。直近で使っていた RX100 M3 はしかし、EVF を超小型ボディーに収めた事もあるのか、やや操作感にキビキビさが足りない点が気になっていた。そこで登場した PowerShot G7X。PowerShot S120 の進化系にも、G1X シリーズの小型版にも見えるボディ外観。

店頭で触ってみると、S120 をずっとメインコンデジとして愛用していた当方としては、全く違和感が無い操作体系。そして、S120 で不満だった部分が改良・装備されて、画像が高精細になったのだからこれは導入しない手は無い。最も嬉しい進化点は、180度跳ね上げる事が出来て自分 撮りが簡単になった背面液晶、モードダイヤル下に設定された大型の露出補正ダイヤル、WiFi ボタンが側面に独立ボタンとして設定された事、そして望遠側が f2.8 と明るいレンズになった事。S120 もそのシャツのポケットにすっと入る小型さで優秀なスナップ機であるが、G7X は大きさの増大を出来るだけ抑えつつ、ズシッと重厚感のある兄弟機に仕上げて来た。ターゲットは S120 の超小型 CMOS での描写に飽き足らなくなった私の様な、スナップ撮影中心のカメラ好き、であろう。

ボディがカチッと出来ているのがとても良い。このカチッと感は、普段カバンに入れて携行するカメラとしては大変重要。華奢なカメラだと、余計な気を使ってしまうからだ。唯一外部プレッシャーで壊れ易い自動開閉レンズカバー部分は小型カメラケース等で保護した方が良いが、それ以外の部分は非常に硬い仕上がりになっていて安心感を覚える。重量感も含め、かなり硬派なのである。所有する喜びを十分感じられる質感になっている。

スナップ撮影を開始すると、スイッチオンから撮影が出来るまでのタイムラグも、レンズ収納型としては悪く無い。AF も高速なので撮影にリズム感が出る。非常に感覚的な表現で恐縮だが、一連の動作の軽快さとリズム感が、スナップシューターとしては最も重要なのである。RX100 M3 も機能的には素晴らしいカメラなのだが、このリズム感が少し足りなかった。G7X なら、撮影のリズム感が崩されない。結果としてここ最近は、iPhone6 Plus に次いで登板回数が多いのは、G7X になっている。ちょっと出かける時にスマホに加えてもう一台、となると、このカメラに手が伸びる。

作例写真は、こちらの flickr アルバムにまとめているので、併せてご参照頂き度い。Canon の映像エンジン DIGIC6 の暗所性能の高さも良くおわかりいただけるはず。ボケ味、という点では、APS-C サイズ以上の CMOS 機でないと顕著で無い部分もあるが、1インチ CMOS のコンデジにはそれよりも、スマホとデジイチの間の、快適かつ万能なスナップ性能を求めたい。そういうニーズには、ピタッとはまるカメラである。


2014年10月19日日曜日

中野フジヤカメラ、秋の Lumix 新製品イベントで 4K Photo を学ぶ

4K Photo」 という、4K 動画から切り出す静止画機能について、本日の Panasonic Lumix 秋の新製品 Touch & Try イベント(於:中野フジヤカメラ)で講師をされた塙真一先生の説明で、良く理解出来た。
これまでのフル HD から切り出す動画は、画素数も2百万画素程度で、動画の場合は秒間30コマ撮影出来るにしても 1/50-1/60 秒程度のシャッタースピードの方が動画として自然なので、動画中から静止画を切り出してもやや眠い画像になる事が多かった。
ところがカメラメーカーで Panasonic だけが実現しているカメラのみで完結する 4K 動画は、動画シャッター速度をより高速(例えば 1/1000秒) に設定することで、切り出す静止
画のサイズがフル HD の約4倍の 8百万画素ということもあり、よりシャープな画像を切り出す事が可能となるとのこと。
本日 GH4 をベースに講義頂くとともに実際にワークショップのモデル撮影も行って、その有効性を知る事が出来た。良く理解されているプロカメラマンに噛み砕いた説明を頂き、撮影迄実践すると、短時間できちんと理解出来て有り難い。

本日の塙真一先生のワークショップで撮影した、動画から抜き出した 4K Photo のサンプルは、こちらの flickr album を御参照頂きたい。モデルの方が大きく頭を振る事で揺れる髪を撮影した動画から、静止画を切り出すとこうなる、というもの。わずか 20 秒程度の動画でも、20 秒 x 秒間 30 コマ = 600 枚の静止画の中からシャッターチャンスを切り出せるので、普通の静止画撮影では得られにくい瞬間を切り出す事が可能に。

ただ、切り出す画像は8百万画素になってしまう為、Lumix GH4 オリジナルの画素数、16百万画素の全てを 4K Photo では得る事は出来ない。全ての画素を利用する方が勿論より高精細なので、難しい瞬間を切り取る目的が無い場合には、通常の静止画撮影を利用する方がベター。16百万画素の作例も、一応こちらの flickr album にまとめているので、参照頂きたい。

11月中旬発売予定の Panasonic Lumix LX100 で 4K Photo を撮影するのが楽しみに。一方、本日ワークショップで利用した Lumix GH4 も操作性の高い素晴らしいカメラである事が理解出来た次第。

百万画素 CMOS の FZ1000 も 4K 動画撮影可能で、16倍ズームを備え、手軽な 4K 動画 Lumix として存在感を放つ。

Panasonic の 4K 動画カメララインナップから、当面目が離せません。








2014年10月14日火曜日

ライカ・ズミルックスレンズ専用のカメラ、Leica X type 113 ファースト・レビュー

「あなたが一番好きなレンズは?」と聞かれたら、迷わず「ズミルックス (Summilux)」と答える程、電脳熊デジカメチーム1軍にはズミルックスの名前を背負った選手が常に在籍する。ここ数ヶ月気に入って使っている SIGMA の 50mm f1.4 も相当優秀なレンズではあるが、登板回数ではまだズミルックスを越えてはいない。

f1.4 - f1.7 ぐらいのハイスピード、つまり明るいズミルックス・レンズをいつもどこかのポジションに配している。Leica 純正レンズを M マウントのアナログカメラや m4/3 カメラにマウントアダプターを介して装着してみたり、4/3 用・m4/3 用の Pana-Leica 25mm f1.4 ズミルックスも何度も手に入れている。最近では、Lumix GM 用に、小型で使い易い Pana-Leica 15mm f1.7 レンズを組み合わせて愛用していた。

すると先日のフォトキナで、Summilux 固定レンズのカメラ、LEICA X type 113 を発売するとの知らせ。しかも APS-C と大きな CMOS を備え、明るさも f1.7。これなら、ズミルックス本来のボケ味も期待出来そうだ。10月初旬発売となり、早速いつもの某カメラ店で、3:1の選手トレードを実行。西ドイツ出身の選手は、契約金もそれなりにかかる。しかし、重く高価な Leica M シリーズと比べると、X type 113 の価格は 1/3 - 1/4、重量も 500g 未満で、大きさの割には軽く感じられ、かといって外装はしっかり高品質に仕上げられていて好印象。スナップシューターとして、ベストなバランスに仕上げられている。以前利用していた Leica X1 と比較するとやや大きくなったが、その分ホールディングがし易くなった印象。

X シリーズ的過剰包装の、重箱スタイルの一番上の箱に、本体が収められている。レンズはさすが大きめだが、ブラック塗装の仕上げも美しく、ライカフォントの黄文字で、「35」と記されている(実際の焦点距離は 23mm だが、フルサイズ換算で 35mm という事)。レンズ上の距離数字がこの手のカメラにしてはちゃんと入っているので、35mm 表記は少し横にずれた所に。「LEICA X」の刻印は、軍艦部に白いフォントで。フラッシュは丸形のリトラクタブル。ポップアップしても、ステーに安定感があって、華奢に出来ていないところがさすが Leica 品質。背面液晶上には、「LEICA CAMERA WETZLAR GERMANY」の白刻印も。久しぶりに Leica カメラを手に入れた嬉しさがジワジワと感じられる仕上げ。

機能面でも、X シリーズらしくシンプルに良く出来ている。上面右側に 1/2000 - 1 秒〜のシャッターダイヤル、そして右隅に f1.7 - 16 の絞りを設定する小型のダイヤル。更に背面右上に、露出補正やオートブラケット、フラッシュ光量補正を行うダイヤルが備えられている。WB / ISO も背面左手に独立ボタンがあり、必要な設定はアナログ操作で十分行える仕様になっている。

そして嬉しいのは MF、つまりマニュアル・フォーカスが行い易いレンズ設計。距離メモリの無限遠の先に AF 表示があり、普段はこれをロック状態にして AF で利用。少し強めにフォーカシングリングを回すと、ロックが外れて MF 操作に切り替わり、画面中央に焦点を合わせる部分が拡大表示される。この移行操作が非常に自然でシームレス。AF/MF 設定を常時切り替えて使いたいハイアマチュア以上のカメラマンには有り難い仕様と言える。そして古いズミルックスレンズとは異なり、またカメラ側でマクロボタン等を押す必要も無く、被写体に 20cm まで寄れるので、気軽に寄った撮影も可能である。

背面液晶に表示されるメニューの構成は非常に標準的なものでシンプルだが、その分迷いも無い。不必要なものは切り捨てて、撮影に集中出来る。まずは、台風19号が近づく地元の何気ない風景を撮影。作例写真は、こちらの flickr album を参照頂きたい。

まだ利用は24時間程度でそのポテンシャルを使い切っては居ないが、何気なく撮影した写真が実にズミルックス・レンズらしく、フォーカスした被写体はあくまでシャープに、そして背景は美しくボケて仕上がっている様子を御覧頂けるはずである。

今後ズミルックスの進化系として、11月中旬に発売される Panasonic Lumix LX100 で明るいズームレンズ Vario-Summilux も登場するので、こちらもかなり楽しみだが、LX 100 は m4/3 の CMOS サイズになる為、ボケ量ということでは APS-C の Leica X type 113 の方が大きいと思われる。ズミルックス愛好家としては、LX 100 の 35mm 相当の焦点距離の撮影結果と、Leica X の作例を、是非比べてみたいと考えている。

Leica のカメラ・レンズクオリティを気軽に活用出来る X シリーズ。より小型の LEICA X-E も同時発売となっているが、ズミルックス・ファンは多少のプラス出費を覚悟しても、是非この Leica X type 113 をお試し頂きたい。後悔しないと思いますよ。








2014年10月12日日曜日

ダイハツから小さなコペンが届き、コペンへの理解を深める

4回で完成する、コペンオーナー向けの 1/18 スケールモデル(有料)、第二弾が届き、運転席周りが完成。シート色、ボディ色は実際に注文したクルマと同じものをオーダー可能。ハンドル操作で前輪が左右に動く。

外装パーツを自由に選べる、というのはコペン独自の Dress Formation を小型モデルで手軽に試せる、という事。実際のクルマでも、樹脂製外装パーツの寸法等を外部デザイナーに広く開放し、新しいクルマのデザインを共創する、というアイディアは、どこかソフトウェアのオープンソース設計的なものを感じさせる。コペン開発部隊のエッジな考え方を垣間見る事が出来る。

同梱冊子には、コペンに関するインタビュー掲載。前回はテリー伊藤、今回は片山右京。そしてコペン開発チームの秘話も。

片山右京は実際にドライバーとして開発現場に加わり、多くのテストドライブを通じて、アナログな人間の感性をフィードバックしているという。単純なコンピューターデザインだけによらない、FF なのに FR 的な乗り味は、このあたりから生まれていたのだと知る。

ディアゴスティーニ型(?)コミュニケーションは、新感覚。ダイハツは、色々と新しいマーケティングに挑戦していて面白い。







「コペン」という名の四輪バイク的オープンカー、ファーストレビュー



四輪バイクこと、ダイハツ・コペンが生活の一部になって2日が経過。今のうちに、率直なファースト・インプレッションをログして置く。乗り馴れるとまた印象が変わる気がするが、とりあえずオープン初心者として。

<良かった点>
・実は軽自動車は自分のクルマ人生ではこれで4台目。Pros/Cons を全て知り尽くしていたつもりだったが、軽オープンという新ジャンルは多くの点で良い方向に予想を裏切ってくれた。一番驚いたのは、関越の追い越し車線を余裕で走る事が可能となった点。前車ハスラー(の OEM のマツダ・フレア・クロスオーバー)NA エンジンと比較し、軽量車重+ターボエンジンの加速の良さ、そして直進性を良好にするボディ強化と安心して減速出来るブレーキの強化がそれにつながっている。高速道路巡航が非常にラクになった。(ちなみに余談ながら前車フレアはまだ人気に生産が追いつかず、超高額買取で、ミニマムな差額でコペンを入手出来た。)

・この二日間、日中はかなり暑く、気温が29度にもなることがあったが、高速で屋根を開けて走行すると、クーラー要らずで気持ち良い風を楽しめる。日が落ちて気温が下がっても、左右の窓を閉めると室内に流れ込む風量が減り、この季節ならオープンのままで OK。
・エンジンは3気筒で、下からスムーズにトルクが盛り上がる。碓氷峠や高峰高原へのワインディングでも、非力と感じる事はあまり無かった(軽自動車比)。スポーツカー的フォルムのおかげで、ゆっくり走る普通車がどんどん道を譲ってくれる。
・日本の狭い山道で気持ち良く走れるエンジン・セッティングと、路面に吸い付く様なハンドリング。引き締まった固さを感じる事が出来るボディとサスペンションのおかげで、安定してコーナリングが可能。それはまさにバイク感覚。しかもコケない、ヘルメットも必要無い。運転するフリーダムを、これ以上に感じられる乗り物があるだろうか。
・オープンのまま駐車していると、特に年配の方に「これ、運転すると、どう?」とニコニコと聞かれる事が多い。コミュニケーションを呼ぶクルマ、コペン。

・オープンのままゆっくり走っていると、360度の(でも運転中は後ろを見てはイケマセン)パノラマが常に広がっていて、同じ道を走っていても多くの発見が。街や自然の匂いという、移動中の変化をそのまま感じられるのは、まさにバイク感覚。

・メーター類はシンプルな白色 LED 発光で、視認性も高くデザイン的にも良好。エコな運転をすると白い木の葉マークが点灯。フロント、テールライトも、このクラスにしては非常に明るい LED を採用。ノーベル賞受賞の皆様に感謝。









<悪かった点>
・スポーツ車セッティングということもあるのだろうが、サスペンションは固く、路上の凹凸もダイレクトにひろってくれる。腰には良くなさそうだ。
・オープンのままで高速道路を走っての、一番の苦痛は長いトンネル。排気ガスの臭さや上からの漏水などは無かったが、クルマのエンジン音がトンネル内で反響してすさまじくうるさい。音楽を聞いているどころではない。かといってトンネルの度にフードを閉じる訳にも行かず、ここは我慢。

・クルマと考えてしまうと、荷物はほとんど積めない。トランクはフードを収納すると、テール部分の空間にわずかに積めるだけ。フードを閉じればゴルフバッグでも積めるが、それではせっかくのオープンの良さが活きない。しかし、四輪のバイクと考えると、顔面への風の抵抗を防いでくれる風防、助手席を荷物置きにした際の積載量の高さ(独り乗りの場合)、いざとなれば雨を防ぐ屋根もつけられる、と良いことづくし。
・運転中に、顔や手がかなり焼けてしまう。この二日間の様に日光が強い時には、サングラスが必須。伊達ではなくて、機能的に必要になるが、日本ではスカして見えてしまうのが残念。
・時々虫に襲われる。高峰高原で駐車中に、蜂の襲撃を受けました。(苦笑)
・二人しか乗れない、するとあまり荷物も積めない軽オープンのメリットは、クルマやバイクに乗り付けていないと全く理解されない。我が家の中でもそのロマンを理解するのは、現時点では当方と長男のみ。(苦笑)
・自宅近くの信号待ちで、見知らぬ小学生に「ママー、あのクルマ丸見え!」と嬉しそうに指を指された。

<総評>
・かつてのバイク乗りで、でもこのトシでバイクもなぁ、と思う節がある方には、絶好の4足鉄馬。バイクと比較するとより安全に、かつ気楽にあの頃の楽しさを取り戻す事が出来ます。夏場には汗をかく重いヘルメットも、転倒予防の革つなぎも必要無し。オープンエア感覚はかなりバイクに近い。小型サイズが故の、自由に車体を操れる操舵感は、たまりません。
・一方で、駐車場に余裕がある場合には来年出る新しいロードスター等、普通車のオープンと比べてみるのも良いかも。コペンには、その小さなボディによるメリットはたくさんあるものの、軽自動車としてのリスクも勿論あるので、真の安全性とゆったり感を求めるならより大きいクルマ、でしょう。当方は狭小道路が多い中野区在住、という事情からコペンサイズがベスト、なのですが。
・やはりオープンで、人生変わります。当方ももう少し歳をとってからオープンに乗ろう、と思っていましたが、この計画は前倒しにして良かった。この夏ダイハツ店に試乗に行って、考えが変わりました。さあ、あなたも是非。