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2015年4月29日水曜日

[Review] Apple Watch の機種選択の実践、そして場所連動広告表示・決済媒体としての未来

4月10日、Apple Watch をまずは写真だけで判断してオンライン予約し、その後の週末、店舗を訪れて試着した。アップルオンラインストアの写真からは、アルミニウム、ステンレス、どちらも良い製品に思えたので、悩んだ結果、家族で使おうと結局両方予約してしまったのだが、実際の感触は試着してみないとわからない。ケースも、そしてベルトも、実際に試着するとそれぞれの良さを感じる事が出来る。

ベルトは後からでも交換可能で、革(レザーループ)や金属(ミラネーゼループ)の感触も良かったが、とりあえずは樹脂製のスポーツ・バンドに決定。これもかなり装着感は良い。一方、ケースの方もそれぞれに良さがあって、試着してからもまた頭を悩ませてしまった。アルミニウムの軽さは、ジムなどで運動する際には有難い。文字どおり装着していることを忘れるほどの軽さである。「ガジェットは軽さが命」派であれば、間違いなくこちらを選ぶ事になる。

ケースの大きさでは、実は 38mm ケースも数日装着利用してみたのだが、当方の大きめの指には 42mm の方がずっと使い勝手が良い、ということが両方を使ってみて、良くわかった。

例えばパスワードをテンキー入力をする際、画面表示がわずかに大きい 42mm ケースの方が格段に、ソフトボタンを押し易いのである。数字上はわずか 4mm の違いでしかないのだが、使い勝手にはこの微妙な差が効いて来る。

そして、メタル質感が高いステンレス・ケース。試着すると、このケースの重量感が最初はズシッと来て、Apple Watch の存在感を腕上で強くアピールする。しかし、しばらく着けているうちに、その重さもやがて忘れてしまう事になる。センサーを備えたセラミック製の裏蓋が丸みを帯びている事、そしてスポーツバンドが柔らかい材質という事もあって、フィット感抜群で、腕への密着感がほどほどに良く、やがて重さを感じさせ無くなるのだ。

あとはもう、好みの問題にもなるが、注目される性能差として、ステンレスケースの Apple Watch にはサファイア・クリスタル・ガラスが奢られている、という点は注目した方が良い。時計表面は日常生活で意外にいろいろなところにぶつけてしまう事がある。ドアの把手等。スクラッチ 傷に強いガラスには、その点で安心感がある。

一方、色で選ぶなら、スペース・グレイのアルミニウム・ケースも、抑えた色合いで、クールな仕上がりになっている。これは実物をご覧頂いた方が良いかもしれない。

各モデルの試着錯誤結果、相当悩んだが、当方が常時装着する Apple Watch は、42mm ステンレスケース + ブラックスポーツバンド、という組み合わせに落ち着いた。防水では無いが、ある程度の耐水性を持つ Apple Watch なので、汗ばむ夏場はさっと全体の水洗いもしたい。樹脂製のバンドは、愛用している Casio G Shock 等も良くそうしていたが、水洗いには好都合である。

これまで一時利用していたアルミケースから、発売開始から4日経過して到着したステンレス・ケース・モデルに乗り換える際も、Apple Watch と iPhone の組み合わせでの手順はシンプル。iPhone の Apple Watch アプリで、一般→リセット→すべてのコンテンツと設定を消去、を選ぶと、Apple Watch 側のデータ消去が数分で完了する。その後は新しい Apple Watch をペアリングし、iPhone 側に残っている自動バックアップデータから再インストールを選択すれば、これまで利用していた Apple Watch のアプリ環境やデータをそのまま新しい Apple Watch に移行出来る。iPhone が母艦なので、移行操作は非常にわかり易い。

まだ Apple Watch を利用開始して数日だが、各種通知がリアルタイムに腕への振動でわかる事、そして日々の運動結果が3重(「ムーブ」と呼ばれる歩数ベースの想定カロリー消費量、運動を行った時間を表示する「エクセサイズ」、立ち上がった回数をカウントする「スタンド」)のドーナツ型グラフで示されるアクティビティ機能は、使い始めるとクセになる。

通知機能は常時装着している腕時計へ、コツコツという振動とともに配信されて初めて、完全なリアルタイム性が発揮される。

Nike Fuel Band が故障してしまってから忘れかけていたアクティビティ・トラッキング機能も、 Fuel Band の LED 表示のみ、よりも表現豊かな小型レチナ液晶になって、腕時計単体で知る事が出来る情報量がグッと増えた。

同様の腕時計型 Wearable ガジェットだった Android Wear はしばらく使ってその後装着をやめてしまったのだが、その理由としては iPhone と連携出来ない点が大きかった。結局常時持ち歩く母艦は Android スマホでは無く iPhone6 Plus なので、そちらとの連携が出来ないと、Wearable として大きな価値を持ち得なかったのだ。

発売前には心配された電池の持ちも、普通に使えば1日は問題なく使える。アプリはまだ「とりあえず作ってみた」程度のものが多い様で、本格的に Apple Watch を活かすアプリの登場はこれからになると思われるが、更にいくつかキラー・アプリが登場するともう肌身離せぬ存在になることだろう。

場所連動の広告・クーポンの表示も、通知機能に優れる Apple Watch の独断場になるはずだ。歩行中、場所に応じてリアルタイムに「コツンと」メッセージ到着をユーザーに知らせる媒体として、現状、これ以上の端末は無い。場所連動広告・クーポンの通知→店舗立ち寄り→決済、この流れが、Apple Watch でいよいよ現実になるのかもしれない。 日々利用しつつ、その真価を体感してみよう。




2015年4月23日木曜日

2008年4月23日、Twitter 日本語サービスを開始した日、のメモ。

Joi の Twitter の投稿で気付かされた。当時自由が丘にあった Joi Ito Lab に、DG 同僚の枝さんとバイクで通った写真も、Joi (現在 MIT Media Lab Director) の7年前の2008年4月23日のブログ(英語版。日本語版はこちらからどうぞ。)にはリンクされていた。

Joi の写真には写っていないが、当時の Twitter 日本語サービス初期版開発チームに参加していたサトウ君高木さんについても、Joi は写真ページのコメントで丁寧に言及してくれている。

7年前の4月23日。僕ら、少数精鋭(!?)の DG Incubation 社チームは、今は懐かしい Digital Garage 富ヶ谷オフィスの一室で、Twitter 日本語サイトの正式ローンチ・イベントを行っていた。イベントの MC は、枝さんと高木さん。時には全身タイツ姿で Twitter ユーザー会に出かけ、初期の Twitter コミュニティの皆さんに可愛がって(?)頂いていた二人は当時、通称 TWJ 1号、2号、と呼ばれていた。

Tweet と Streaming をしながら、TWJ 1号・2号の二人は新幹線こだま号に乗って全駅下車、東京から大阪迄、Twitter ユーザーの皆さんに駅でお会いする「つ、の旅」も企画、実行していた。この旅で出会った一人のユーザーさんに、世界で初めて(!)のツイッターステッカーを作成頂いたり。ちなみに旅の終着点は、なぜか「津」駅だった(笑)。

その二人にエンジニアのサトウマサヒコ君が加わり、 当時まだ20数名規模だった Twitter US 本社に高木さんを派遣、2008年1月の DG Incubation 社による Twitter Series B 投資発表からわずか3ヶ月余りで、Twitter 日本語版の正式立ち上げを実現したのだった。

英語は得意で無いのに、サンフランシスコ市内、サウスパークにあった初期の US Twitter 本社チームの技術者と仲良くなって、東京側のサトウ君、枝さんとのコラボで日本語化を見事3ヶ月で成し遂げた、Panasonic 出身の営業もできる技術者、高木さん。

日経 BP、日経エレクトロニクス副編集長を務め、「Tweet」を英語的な「さえずる」ではなく、日本市場に即した「つぶやく」という言葉で見事に翻訳した枝さん。その後「つぶやく」、という動詞は、日本のソーシャル・メディア業界で一般的に使われる言葉になっているのは、わずか7年という短い歴史の中で大変なブランディングの実績であろう。

Joi が、Neoteny 社長だった 2002年に、当時 Pyla Labs というブログ・サービス「Blogger」開発・運営社の CEO だった Evan Williams 氏との関係を築き、それから6年を経て、DG Incubation からTwitter 米国本社への投資実行、Twitter 日本語サービスの開始にこぎ着けた。色々な点と線が結び合わさって、7年前の4月23日にたどり着いたのだった。

当方は当時、投資と日本語サービス立ち上げの責任者として、初期の Twitter 日本語版立ち上げチームに参加していた。Series A クロージング直後に実行された Series B 投資時点では、DG Incubation は、全株式の実に 1% 近い投資シェアを獲得していた。その後投資家が増えて希釈化してしまったが。投資初期は、「ミニ・ブログなんて、本当にビジネスになるの?」と聞かれる事も多々あったのだが、当時の我々チームは Joi のアドバイスで Twitter をユーザーとしてもかなり使い込み、"addicted" になっている自分たちを発見していた。このサービスは、リアルタイム・ニュース・サービスとしてきっと成功する、という自信を、当時のチームは心のどこかで共有していた。Series B と早いステージでの Twitter 海外展開支援にも、不思議と不安は無かったのだ。

自信を得た最初のきっかけは、日本語サービス開始前年の2007年の初夏、渋谷の温泉施設で突然起こったガス爆発事故だった。昼間に会議をしていると突然、当時富ヶ谷にあった DG 本社会議室まで轟音が響き、やがて取材のヘリコプターも飛び交い始めた。しかし、テレビでもラジオでも Web ポータルでも、その音の理由が一切伝えられない。一番最初にそれを伝えたのは、まだ正式日本語化が進む前から Twitter を利用していた、渋谷地区 IT 企業の、早耳の Twitter ユーザー達だった。「松濤の温泉施設で、どうやら大きな爆発があった」その書き込みに、我々は騒然となるとともに、Twitter のパワフルでスピーディなニュース拡散力を目の当たりにしたのだった。「これは必ず、新しい C2C リアルタイム・ニュース・メディアに成長するに違い無い」、と皆確信した。スマホすら無かった時代にもかかわらず。

Joi から「Twitter を皆で使ってみようよ」という話があったのは、その少し前からだった。そういえば、MovableType で最初にブログ・サービスを使い始めた2002年も Joi からアドバイスを受けて、まず当時の Neoteny 社員皆で使い始めたのだった。"Learn by doing." Joi はいつも新しい技術・サービスが勃興する、相当前にそれに気づき、我々はそれをユーザーとして実際に試した上で、着実にビジネス・アクションに繋げていた。いつも Joi が光速で駆け抜ける半歩後を、全力で追いかけていたのだ。

2015年、7年後の Joi は MIT Media Lab の Director として、ボストンで世界一の頭脳集団を率いて活躍している。日本の皆さんにとっても、NHK Eテレの「スーパープレゼンテーション」の MC として、お馴染みの顔になっているはず。当時の Twitter 日本語立ち上げチーム員も、今はそれぞれの道を歩んでいる。しかし、当時の DG Incubation チームに所属していた全員にとって、Twitter 日本語版の投資から初期立ち上げ迄を少人数で実現した事は、大きな自信となり、現在の活動の基盤になっているはずだ。

立ち上げから程なくして、 DG と CGM Marketing 社でより多くのチーム・メンバーが Twitter 日本語版の初期 Marketing / Branding に参加、大変手がかかった24時間の日本語版 Twitter ユーザーサポートを代行し、世界で唯一かつ最初の Twitter オフィシャル・サイト広告サービスを開始し(今は WiL で活躍している琴君が、当時は米国側 Twitter 本社に張り付いてこの DG による広告サービスを支えていた)、複数回の User Meetup も開催(今は Evernote Japan の上野さん、ご苦労様)し、やがて Twitter Japan が設立されて運営を DG から移管し、2013年9月の Twitter 本社米国 IPO も成功して、現在に至っている。多くの献身的な DG グループ・チームメンバーによって、Twitter 日本語版サービスは急成長を遂げた。(その頃の写真は、こちらの flickr アルバムをご参照頂き度い。)

Joi の Twitter エントリーで、そんな事をふと思い出した。あれから7年「も」経ったのであり、7年「しか」過ぎて居ない様でもある。当方はその後、2013年に、7年間在籍した Digital Garage グループを離れ、ボストンに Joi が引っ越してからは、実際に顔を合わせる時間もあまり無くなってしまったが、ネット上でいつも彼の活躍は東海岸からリアルタイムで伝わって来る。これも Twitter のおかげ、である。

2015年の今、Twitter のサービスは世界で約3億人弱に活用され、日本でも約2千万人がユーザーとなっている。(詳細な統計データはこちらをご参照。)米国本社の時価総額は約 330億ドル(日本円換算約4兆円)に達し、世界で働く従業員総数3600名、一週間で消費するゆで卵は1440個、同コーヒー消費量は585ガロン(笑)と巨大なソーシャルサービス提供企業に成長した。7年前の僕らには、勿論ここまでの急成長は見通せてはいない。

しかし前述の通り、無意識の下に何か、僕らチームには強い確信があった。そう、Joi はいつも、未来を見せてくれていたのだ。

7年前も、そして今も、Joi は Net Community に先進的なビジョンを与え続けてくれている。さあ次は、新しいボーダーレス決済の、グローバルな仕組み作りへ!。











2015年4月19日日曜日

[Review] 高速起動スナップシューター決定版 Canon EOS M3 を、EF-M 11-22mm f4-5.6 超広角ズームで最強化

一時 Olympus EM-5 Mark II が優位かと思われていた、デジクマ・チーム・ミラーレスのトップ争いが、Canon EOS M3 の登場であっけなく決着しそうである。

5軸手ぶれ補正、見易い EVF の内蔵、静かなシャッター音... EM-5 Mark II も非常に良いカメラなのだが、先のブログエントリーでも指摘した、起動スピードの問題が、おそらく 5軸手ぶれ補正機構の初期スタンバイ時間とも関係あるのだろうが、やはりどうしても気になってしまい、立ち上がりが早いカメラを意識下で探し続けていたのだ。

EOS M3 を起動、という点に注目して再度触ってみると、モードダイヤル右横の On/Off ボタンを押し下げてからの立ち上がりは非常に高速だ。押し下げてからほぼ1秒以内に、背面液晶が立ち上がる。そして、当方が頻繁に、というかほぼ常時利用する EVF (電子ビューファインダー)を装着した状態でスイッチを入れた場合、デフォルト設定ではまずは背面液晶→EVF の順番で起動が順番に進むので、「EOS M3 も EVF 起動は遅いのかな?」と一瞬心配したが、設定メニュー中の「スパナ」アイコン下1ページ目の「表示先切り替え」をオート→マニュアルに変更するとこの問題が解決。マニュアルモードでは、EVF 左側面のディスプレイ表示スイッチを押す毎に EVF / 背面液晶、二つの表示先が入れ替わる。そして重要なポイントは、電源を切って再度入れ直しても、その設定が保たれるのである。

EVF で集中して撮りたい時に、表示を EVF に選択しておけば、いちいち背面液晶が立ち上がる事も無く、スイッチオンで即座に EVF 側の液晶のみが起動する。このサクサク感が、当方の様に街角スナップ写真派には大切なのである。じっくり撮る派、のカメラマンにとっては多少起動時間がかかっても良いのかもしれないが、スナップチャンス命、というカメラマンには起動時間が初動の全てを支配する。

そしてもうひとつの嬉しい点は、オン/オフ電源スイッチの配置。EM-5 Mark II では左肩のモードダイヤル横なのだが、EOS M3 では右肩のモードダイヤル横。つまり、右手の指先ひとつでカメラ起動が可能。EOS M3 の様に軽いミラーレスになると、 ネックストラップを利用するより、ハンドストラップを利用して、常に右手に持ってシャッターチャンスを狙う事が多い。すると、起動も右手ひとつで完了すると、大変具合が良いのである。最近利用頻度が増えている Lumix FZ1000 も右肩の起動スイッチ。このあたりは小型カメラの好き嫌いを分ける、当方個人的には重要な判断ポイントなのである。

Canon はコンデジからミラーレス、そしてデジタル一眼に至るまで、一貫してカメラ動作のサクサク感、にこだわっている気がする。以前当ブログで評価した PowerShot G7X (起動ボタンもやはり右上に)も、その操作サクサク感の秀逸さで未だにアッパーコンデジジャンルの中心選手として活躍している。最近 SIGMA 24mm f1.4 DG ART レンズを利用するために再導入した EOS 6D (これは残念ながら起動スイッチが左肩上なのだが、フルサイズで軽いデジイチというとこれになる)とあわせ、気づくとコンデジからデジイチまで、主力カメラを Canon 製が占める様になってしまった。Canon のサクサク・カメラ造りのパワー、恐るべし。

EOS M3 は発売と同時に、オプション製品の EF - EF-Mレンズアダプター、そして超広角ズームの EF-M 11-22mm f4-5.6 IS STM レンズを一定期間内に購入すると最大 18,000円をキャッシュバックする、というキャンペーンを開始した。当方も以前活用していたものの、AF がやや遅かった EOS M と同時に手放してしまった本レンズを、キャンペーン利用で再導入しようと探したが、最近まで近所のあらゆるカメラ店、そしてネット販売の在庫が無くなってしまっていた。EOS M3 ユーザーが素直に、そして Canon 側の予想を超えてこのキャンペーンを利用した、という事だったのだろうか。予約を入れてずっと待っていたのだが、4月18日になってようやく製品が到着した。

以前、EOS M で本レンズを活用した際の作例写真は、こちらの flickr アルバムを参照頂き度い。東京駅前の広場高層ビル街がすっぽり収まる超広角の素晴らしさをおわかり頂けるはずだ。

今回も、EOS M3 とのコンビネーションで、EF-M 11-22mm レンズの活用を開始した。作例は、こちらの flickr アルバムに撮り溜めて行く。EOS M 18百万からグレードアップして 24百万画素になった解像感を比べていただければ幸い。カメラ本体 EOS M3 と EF-M 11-22mm レンズ、というコンパクトな組み合わせ利用のストリート・スナップの機動力は最強だ。今後も枚数を増やして行く。







2015年4月12日日曜日

[Review] 極薄 SmartPC としての Apple MacBook 12 inch、ファースト・レビュー

Apple が初期店頭在庫の数を十分に用意しなかった(出来なかった!?)新しい MacBook 12インチ。話題としては新規商品ジャンルでより注目度が高いウェアラブルの Apple Watch の陰にやや隠れる形となってしまった。しかし当方は発売後二日目となる4月11日、苦労して 薄い量販店在庫を探り当てた。二日間とまだ短期間だが、利用してみての率直な感想をメモして置く。
レビューに入る前に、御一読頂き度いのは、ATOMOS DESIGN 児玉さんによるエントリー、「ファブレット+スマートPC という未来」。MacBook 12インチは、そのやや非力な CPU の採用、そして USB-C への端子集約等から、どうしても既存ラインナップの MacBook Air と比較され、疑問視される事も多かった。しかし、このエントリで述べられている通り、ファブレットがスマホの主役となる時代のコンパニオンとしての「SmartPC」としての役割がこのマシン、とポジショニングすると腹落ちする。

モバイル環境で生産性を上げる為に必要だったのは小型スマホとタブレットの組み合わせでは無く、ファブレットと薄くて軽くて電池が長持ちする、SmartPC だったのだ。タブレット用の薄いキーボードを探しては機能的な不十分さを感じる事が多かったが、それは母艦が画面タッチ操作基本の「タブレット」だったからと悟った。タブレット並みに薄く、電池が長持ちし、キーボードとトラックパッドで自由に使える SmartPC の究極の姿が MacBook 12インチだったのだ。

いきなり結論に行き着いてしまった様だが、MacBook 12インチの性能を実際に触って確かめてみる。まずは、これも話題となりがちな浅いストロークのキーボードと、感圧トラックパッド。短い時間しか使っていないので、これを結論にしたくは無いが、 かなり指先に力を入れて打鍵する当方としては、このキーボードには未だ慣れ無い。フェザータッチのキーボードなので、力を抜いて打鍵すれば心地よいのだろうが、すぐにこれまでのスタイルを変えられず、結果としてやや硬い板を打っている感じとなり、2時間ほど使うと指先が少し痛くなった。

キーボードについては、この薄さを実現する為にはこうするしか無い、という技術上の理由は良く理解出来るのだが、慣れるにはしばらく時間がかかりそうだ。以前の山型のキーボードから平たいキーボードに移行する時もいつかは慣れた様に、時間をかければ慣れるのであろう。この薄いキーの一つ一つに LED バックライトを入れた努力も大変なものだ。

一方で、最初は違和感も感じた感圧トラックパッドの利用には、すぐ慣れた。ガラス タッチパッドを下方向に押し込む動作の感触を振動で擬似的に作り出しているというのだが、何度使っても本当に下向きに押し込んでいる様な錯覚がある。Apple Watch でも、相手にメッセージ到着時の振動を腕に伝える機能が Taptic Engine と呼ばれる同様の仕組みで実現されて居り、いずれ MacBook もそのコミュニケーションの仲間に入る、という事なのだろうか。端末種類を超える新しい非言語メッセージング手法が、色々生み出される事になりそうだ。

数時間連続して使ってみて、これまでの MacBook と大きく違うと気づくのは、長く利用しても本体が熱くならない、そのクールさ。Core M 1.1GHz とやや非力にも見える CPU を利用し、MacBook で HDD と並んで壊れやすい部品だった空冷ファンを省く事が出来た。それでも、これだけの薄さに多くの電池を並べて入れているので、もう少し発熱するのでは、と思っていたのだが、液晶側も本体も、クールさを保ち続ける。これは凄い事だ。SmartPC たる所以がこの「常に平熱」を保つボディにも感じられる。

そして想定外というか、意外な発見で嬉しい驚きだったのは、MacBook 12インチの内蔵スピーカーの優秀さ。これまでは MacBook Pro / Air で、やや平板と感じていた内蔵スピーカーの音圧が上がり、そして音の立体感もよりダイレクトに感じられる様になった。キーボード上のヒンジ部の手前に内蔵スピーカーが隠れているのだが、これなら出張先に外部接続スピーカーを持って行かなくて良いと思える、納得の音。こんな所にも手を抜かない、というか進化させている Apple は、流石としか言いようが無い。

外部端子を USB-C ひとつに集約した点は、これまでの資産を活用出来ないという点では異論も勿論あろうが、これも SmartPC としてのシンプルな割り切り、と考えれば納得が行く。周辺機器との接続は極力ワイヤレスで、リソースはクラウドに置いて。

かつてクライアント・サーバ・コンピューティング全盛時代に "Thin Client" と、あまり重要性を置かれずに呼ばれていた端末が、"Smart Thin MacBook" として、突然目の前に現れたのである。Apple は常に未来思考。半年〜1年ほど経つと、Smart Watch - Phablet - SmartPC がクラウドのリソースをモバイルから自由にワイヤレスで使う新時代が来ている事を、我々は更に実感する事になるのだろう。Steve と、その DNA を継ぐ全てのアップル社員の皆様に感謝。(写真は当方が最後に Steve Jobs の姿を直接見た、D8 のカンファレンス。2010年6月、 LA の Terranea Resort にて。)








Apple Watch 最終選択にアナログ腕時計の名機 SEIKO ASTERISK の影響

4月10日から注文可能となった Apple Watch、やはり最終機種選択する上では試着が必要だろう、という事で10日夜、同日発売の MacBook 12インチも見学目的で雨の中、銀座アップルストアを訪れた。

前のエントリの通り、残念ながら発売初日にもかかわらず MacBook 12インチはまだ同店に届いていない、という珍しい事態だったのだが、うがった見方をすると Apple 社全体で10日は Watch によりリソースを注ぎ込み過ぎたからなのだろうか、と考えてしまう程に、店内は Watch 一色。入口の Pop、店の中央に置かれたショウウインドウ、全て Apple Watch だ。店内各所で試着が行われ、顧客一人一人に店員さんがついて、丁寧な説明が行われていた。

気が早い Apple ファンはもう、10日午前中のうちに訪れていたのであろう、午後7時過ぎの銀座アップルストアは想像よりは混んでいなかったが、それでも試着は30分待ち。列に並ぶ必要は無く、iPhone を利用して順番を効率的に仕切っているのではあるが、とりあえずは初日の試着はあきらめてショウウィンドー下の実機を眺めて過ごす。

そして 翌11日。MacBook 12インチの初期ロットを抑える目的で新宿西口のビックカメラへ。なんとかスペースグレイ 256GB の薄型マックブックを入手出来てほっとしたところで、昨日かなわなかった Apple Watch 試着へ。

アップルストア各店舗、そして新宿伊勢丹でアップル・ウォッチ試着が出来る事は皆さん良くご存知の通りだが、実は大手量販店でも試着は可能。中でも、Sofmap を買収したせいか、Apple 製品の関連サービスのクオリティが高いビックカメラ新宿西口店は、最近の当方お気に入りの場所。MacBook 12インチの在庫があった事にも気を良くして、喫茶店で一休みしてから昼過ぎ、試着の流れ。待ち時間も殆ど無く、すぐに試着可能となった。

事前に Web サイトを見た上で、試着すべき機種は絞っていたのだが、最大15分という試着時間の関係で、3つを選んで欲しい、との事。そこで写真の3機種に絞りこんだ。

42mm ステンレススチールケースに、革製のレザーループ金属製のミラネーゼループのバンド2種類。そして、42mm スペースグレイアルミニウムケースにブラックスポーツバンドの組み合わせ。革バンドはブライトブルー色が希望だったが、展示用在庫が無いということで、茶色でお試し、ということに。

試着するとしかし、更なる迷いが。そう、二種類のケース、三種類のバンド、それぞれに出来が良いのだ。出来れば全部欲しい、と思ってしまう。ケースについては、アルミの軽さとつや消しで濃いグレイ色の仕上がりの良さは確かにスポーツ向きで、装着していて楽。一方で、ステンレススチールはガラスもサファイアガラスで強化されて居り、装着するとズッシリ感があって時計の存在を強烈に感じさせる。

ベルトについては、当初金属はどうなのかな、と思っていたミラネーゼループが薄く軽く柔軟に出来ていて、これなら暑い夏でも通気が良さそうと感じてみたり。一方で、しっとり柔らかいレザーループも捨てがたい。それぞれ、強力なマグネットで長さを変えて装着が可能で、その機能性にも惹かれるものがある。

一方で、スポーツバンドの出来も Web で眺めていた時とは違って、実際に装着してみると樹脂ながらしっかり作られて居り、腕へのフィット感も良い。店の方からは、バンドは後で変えられる(確かに、ケース裏のボタンワンプッシュでスライドさせてのバンド交換が可能。この方式も、バンド交換が大変だった既存腕時計とは異なる画期的メカニズム。)ので、まずはケースを選択すると良い、とのアドバイス。

うーん、うーん、と、二つのケースを交互に持ち上げて考えるも、結局その場では決めきれず。自宅への帰路、悩んだ挙句、ようやく候補を決定した。「42mm ステンレススチールケースと、ブラックスポーツバンド」この組み合わせで行こうと決めた。機能性とデザインから、ケースはその堅牢性とクラウン・光沢ボディ仕上げの良さからの選択。そしてバンドは日常装着する上で、水洗いし易いということから、なのだが、実は当方脳内では別の化学反応もあった様だ、と後から気づいた。20年以上気に入って使っている、SEIKO ASTERISK の美しく光るステンレスケースと大型クラウン、そして黒ベルトのイメージがシンクロしていた、のである。これまで多くの腕時計を使って来たが、その存在感の大きさと立体的に作り込まれた文字盤デザインでは、このアナログ時計の右に出るモノは無かった。デジタル世界での頂点を目指す Apple Watch はまた別モノだが、孤高という点が似ているのかもしれない。4月24日以降という、Apple Watch 到着が今から待ち遠しい。





Apple MacBook 12インチ入手の為、新宿西口をクマダッシュしたという顛末

当初想像していたよりも、新しいMacBook 12インチの初期在庫入手は大変であった。

4月10日の販売初日、Apple Watch 予約が開始となった午後4時過ぎのアップル・オンラインストアで確かめると、ゴールド色 SSD 512GB以外は 1-3営業日で配送、という緩い在庫状況だったので「それなら現物を見てからにしよう」とポチらず。

しかし数時間後に同じページを見ると、全品・全色、配送に3-4週間かかるというでは無いか。オンラインでの早期入手の道は、わずかな時間で断たれてしまった。そうかまず皆さん、Apple Watch を確保して、それから MacBook 12インチのオンライン購入に向かったのか...読み違えた。

これはあかんと、同日午後7時過ぎに、雨を厭わず銀座アップルストアに向かうが、アップルストアにも発売初日ながら MacBook 12インチが届いて居らず、通常と異なる状況。明日以降いつ商品入荷があるのか、ストア店員さんもわからない、と。

これは一体、初期在庫はかなり薄いのだろうか、と、翌日4月11日、開店時間のわずか15分後の9時45分、新宿西口ヨドバシカメラ本店に到着すると、なんと開店前に整理券を配ってそれで MacBook 12インチは全台販売完了したと、マック売り場での説明。

スワッ、これは一大事と、少し離れた場所にある、新宿西口ビックカメラへ、巨体を揺すってクマダッシュ。なんで土曜の朝から新宿西口駅前を走らにゃならんのだ、と考えている暇も無い。何とかビックカメラ開店時間の10時前に、二階入口前に並ぶ事が出来た。すでに行列が出来ていたが、どうやら妖怪ウオッチ関連の玩具発売待ちの人と混在で、10名ほどの短い行列。

開店時間とともに4階のマック売り場へ。全色展示あったが、触らずに直接、販売カウンターへ。到着3番目で、希望だったスペースグレイ色、SSD 512GB を求めるが、すでに一人前で売り切れと。ゴールド色も両機種とも無し。

しかしグレイ色 SSD 256GB の在庫は有ったので、何とか入手。ふぅぅぅぅ。朝から MacBook 12インチを求めて走った甲斐が有った。アップルストアなら、今日は恐らく在庫潤沢だったのかなと思いつつ、開封の為近くの喫茶店へ。

落ち着いてから、ネットで MacBook 12インチの発売二日目の状況を見てみると、アップルストアでも本日午前は在庫が無いところが多かった様だ。他の大手量販店でも、ちょぼちょぼの在庫だった模様。当初はアップルストアに向かおうと思ったのだが、近場の新宿をまずチェック、という事でこちらに来たのが結果的に奏功した。

実際にモノを手に取ると、普段使っている MacBook Air 11インチより軽くて薄くて、出張での携行マシンとしては非常に望ましい仕上がり。事前の情報通り、キーボードはストロークが極めて浅く、当初は驚くが、これも使っているうちに慣れるだろう。ただし、どちらのキータッチが好ましいか、と二者択一にするなら、MacBook Air 11インチだが。しかし、12インチの薄さは魅力だ。

当方の使い方では、Web ブラウズとオフィス関係書類ワークが中心になるので、Core M 1.1GHz CPU のパワーでも、それほど気になら無い。8GB 容量がある有るメインメモリも、効いているのだろう。256GB の SSD 容量は少なめだが、これも Cloud 時代にはこれで良いのかもしれない。ファンレス構造も、部品の壊れにくさ、という点で嬉しいところ。

ということで、MacBook 12インチ探しで走り回った土曜日朝、なのでありました。 入手出来て良かった.....。





2015年4月11日土曜日

[レビュー] SIGMA 24mm f1.4 DG ART レンズは広角レンズだが抜群のボケ味

 そう、24mm 広角レンズは、これまでの当方の常識では、あまりピントに神経質にはならず、シャッターを押せばそれなりに街角風景を美しく撮影出来るスナップ・レンズだった。しかし、SIGMA 24mm f1.4 DG ART は、その当方の思い込みを完全に変えた。f1.4 で被写界深度が薄い(=ピントが合う範囲が狭い)為、24mm 画角で広く映る画面のどこにフォーカスを置くべきか、常に真剣勝負。使い始めは難しいレンズでとっつきが悪いかな、と思っていたのだが、使い込む程にその面白さが分かって来た。

SIGMA の単焦点で明るい ART レンズシリーズは、35mm f1.4 DG (当方撮影の作例写真はこちらをご参照)、50mm f1.4 DG (当方撮影の作例写真はこちらの flickr album を ご参照)をそれぞれ EOS 6D で使って来て、これが3本目。設計には類似点を持たせている様だが、その性格付けはレンズ毎に異なる。

今にして思えば、この3本中で最も汎用性が高いレンズだったのは 35mm f1.4 だったかもしれない。この3本の中では比較的気軽に撮影出来るレンズであった。50mm f1.4 になると、背景ボケが強くなるので、フレーミングに気を使う。24mm f1.4 は 35mm f1.4 より広角なので、気軽に撮影出来るだろう、と甘く考えて使い始めると結構ピントを外すケースが。

AF を複数点にしていた為、一番近景にある被写体にピントが合ってしまいがちだった様だ。画面中央の1点 AF に切り替えて、フォーカスをすべき被写体を AF ロックしてから撮影する方が良い使い方が出来る。

とりあえずは、散り始めてしまった中野通りの桜並木と、新井薬師公園での桜まつりの様子を撮影。夜景撮影は、いつもの中野裏路地で。当方撮影の flickr album 作例写真をご覧頂ければ、24mm ながらしっかりピントが薄いこのレンズの面白さを理解頂けるはず。

これまでとは違う 24mm の表現が可能なレンズだ。

シグマの高品位で明るい単焦点レンズ群、面白いですね、全て。ちなみに余談ですが、中野フジヤカメラでカメラと液晶保護フィルムを買うと、無料で空気が入らない様に貼ってくれます。地味に便利なサービスなので、皆様も是非。w




2015年4月6日月曜日

[レビュー] Olympus Air で、カメラ本体は空気の様な存在に

最初、その製品を知った時には、「まあ、Sony のレンズ型カメラシリーズの二番煎じでしょう」程度の感想で、大きな期待を持っていなかった。というのは、Sony の QX-10 をしばらく使ったが、十分活用しきれなかった、という感想を持っていたからだ。Olympus が、オンライン販売のみでの販売を始めた、オープンプラットフォーム・カメラ Olympus Air A01 の外観は、Sony 製品の流れを組むものに見えた。レンズ交換式ではあるが、これも Sony の QX1 が先行している。

ネットで製品紹介ページを読んでみても、その違いを理解することは難しかった。しかし、猫写真家の荻窪圭さんによる A01 レビュー(ITmedia デジカメプラス記事)を読んでみて、ようやくその独自の面白さを理解。マイクロフォーサーズシステム (m4/3)が得意とする小型レンズを、A01 の小型筐体に装着する事で、超小型カメラシステム独自の様々なレンズを日常携行して、自由な撮り方を創造して行く、そういう姿勢で楽しめるのだと伝わって来た。Sony の QX1 より一回り小さい、そこがひとつ重要。

ということで早速、Olympus のネットショップで注文。数日で本体が届いた。なかなかカチッと出来ていて、光沢仕上げも有りモノとしての魅力も十分。底面の裏蓋の構造が少し華奢であったり、電池交換は出来にくい仕様である点は次のモデルでの改善をお願いしたいところだが、全般に満足出来る高品質さだ。

手持ちの iPhone6 Plus との接続は、基本アプリの OA.Central をダウンロードすると、あとはスマホの画面の手順に従って行くだけで設定が可能になる。先に購入した Casio ZR1600 と同じで、Bluetooth x WiFi 双方を利用した、Bluetooth Smart 常時接続を起点とする WiFi 無線コネクションが必要となる。Bluetooth の接続は問題無く進むが、WiFi 接続に関して iOS ユーザーは Android と違い、スマホ本体が他の WiFi と接続されている場合には、一般メニューからの手動による接続先変更が必要。その点さえ気をつければ難しい点は無い。

早速使ってみると、Sony QX シリーズとの違いですぐに気づくのは、シャッターボタンの大きさと位置。QX 10 では丸く小さい側面シャッターだったが、A01 では楕円形で大きなシャッターボタンが、三脚穴とは逆位置の天井面に設定されている。

これが、実は使いやすい。形状が大きくどの方向からでも押しやすい事は勿論、上部に設定されているので、カメラ感覚での利用がしやすいのだ。シャッターボタンはやはり上から下に押したい、それがカメラマンの習性。最近発売された Canon の PowerShot N2 も、セルフィーを撮影し易く面白いカメラだと思ったが、初代 N と同様の構造の、リング上の360度どこからでも押せるシャッターが、少し当方には使いづらかった。

A01 のシャッターは、この種のものとしては抜群に押しやすい。そこでまずは愛着が湧くのである。スナップ用途で、スマホとつながず単体で使う際にも、電源ボタンを押してすぐにシャッターが切れる。そして、AF が最近の Olympus の AF に採用されている FAST AF で、文字通り速い。バカッ速と呼べるほど。なので、電源を入れて、AF を決めて、気持ち良くシャッターを切る、この一連の流れが実にスムーズなのである。AF に迷いが無い。スマホを接続する前から、すっかり A01 が気に入ってしまう。

そしてスマホをつないでさらに驚愕。例えば m.Zuiko 40-150mm f2.8 Pro  の様な望遠ズームを接続して(右の写真の通り、実際に装着してもカメラ本体というより、倍率を上げるテレコンバーターにしか見えない点はご愛嬌)スマホにつないで、スマホ画面のリモート映像でピントを合わせたいところをタッチするだけでも、ピッと AF が合う。このサクサク感は素晴らしい。フルサイズ換算 300mm 相当の望遠レンズで、この小さなカメラボディで、瞬時に AF 合焦出来てしまう!!レンズ型カメラだから、という妥協が無く、オリンパスの最新技術が奢られている、と実感出来る。さらなる高みを望遠レンズで目指したい方は、Daiy Portal Z、じゃなかった、デジカメ Watch の切り貼り実験室の記事をご参照。

純正アプリ系も充実していて、OA.Central 経由でダウンロードすべきアプリが全てみつかる。詳細はこちらのリンクを参照頂き度いが、特に素晴らしいのは、OA.ModeDial というアプリ。(ちなみに、この OA なんちゃら、というネーミングはもう少しシンプルにわかり易くした方が良いと思うのだが。)これを利用すると、ほぼオリンパスのデジタル一眼の基本機能が使える様になる。

デジタルテレコン機能もあって、機能ボタン一押しで 2x - 3x の拡大画像にサクサク切り替わる。A モード(絞り優先)にして、このテレコンを活用すると、オールド・レンズを装着してマニュアルフォーカス、という作業も楽々。詳しくはこちらのデジカメウォッチの伊藤浩一氏レポートを参照頂き度い。m4/3 でオールドレンズ(沼)遊びをされている方なら、この使い方はどっぷりはまれるはず。なにしろシステムサイズが小さくて済む。

当方は、今週末はオールドレンズを試写するところまでできなかったので、とりあえずは魚眼の Olympus 製ボディキャップレンズ、9mm f8 BCL-0980  (超広角 18mm 相当、対角魚眼)を装着、それをベルボンの超小型セルフィー棒、ウルトラスティックセルフィーに取り付けて、まずは中野通りから新井薬師の桜見物に利用した。作例はこちらの flickr album を参照頂き度いが、MF レンズながら魚眼なので、フォーカスをあまり気にせず気軽に撮れる。桜を眺めている自分を桜越しに上のアングルから、というのはこの組み合わせならでは、だ。もはや自撮りとは気づかれない様な(笑)アングルでの撮影も可能になる。

その他、薄型パンケーキ・レンズでキレの良い画像を撮影出来る Panasonic Lumix G 14mm f2.5 (広角 28mm 相当)での撮影作例も、こちらの flickr アルバムに置いているので参照頂き度い。ともかくも、使っているうちにその空気の様なカメラボディの存在を忘れてしまう程、超小型でモバイル環境で楽しめるレンズ型カメラである。しばらく常時携行して、様々なレンズとともに使ってみたい。