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2016年2月28日日曜日

[Review] OLYMPUS PEN-F ファーストレビュー、3本のレンズでまずは作例写真をアップ


CP+ 二日目の2月26日金曜日が OLYMPUS PEN-F の発売日山下公園近くで水上バスとナポリタンを満喫 帰路に中華街で肉まんを買っている時にその事実にはっと気づいた。フジヤカメラ店が閉店する午後8時半迄に、中野に到着せねば、と。中華街から副都心線新宿三丁目経由 JR 新宿の乗り換えも猛ダッシュし、汗だくで閉店30秒前に滑り込み、何とか間に合って発売日にシルバーの PEN-F を入手。翌日三日目の CP+ で、m.Zuiko 12-40mm f2.8 レンズと同 17mm f1.8 レンズ、そして本日 Panasonic Lumix G 14mm f2.5 のパンケーキレンズも装着して、まずはテスト撮影を敢行。

3本のレンズそれぞれでの作例写真は、以下の flickr アルバムに纏めたので、まずはそれを以下のリンクから御覧頂きたい。どれも JPEG 撮って出し、である。
OLYMPUS PEN-F + m.Zuiko 12-40mm f2.8 レンズ作例写真
(CP+ 2016会場・三日目の写真)
OLYMPUS PEN-F + m.Zuiko 17mm f1.8 レンズ作例写真
(横浜夕景・中野夜景)
OLYMPUS PEN-F + Panasonic Lumix G 14mm f2.5 レンズ作例写真
(中野昼間街撮り)
以前 Olympus E-M5 Mark II を利用していた当方として一番気になっていたのは、スイッチオンからの EVF の立ち上がりの速さ。5軸手ぶれ補正機能の起動もあるので、もちろん瞬時、では無いが、スイッチオンから2秒たたず EVF が起動する。満点とは言えないが、スナップ・シューターとしてはこれなら使える範囲である。静かな場所で聞こえる5軸が動作している「サー」という音も、一定時間が過ぎると消える様に出来ている。気になっていた点が改善されているところは素直に嬉しい。

LEICA の 1950年代のバルナック型カメラ、IIIg 辺りを彷彿とさせるそのデザインで、CP+ 会場で PEN-F を下げていると、カメラ愛好家に何度か声をかけられた。Old PEN-F というよりは、バルナックに似ている、と言われる事が多かった。実際、デザイナーはそれをきっと意識しているのであろう。左手の、バルナック型ではフィルム巻き上げノブに設定されている丸い金属ダイヤルは、PEN-F ではロータリー型電源スイッチとなり(ちなみにこの電源スイッチは、慣れると使い勝手は悪く無い。場所もわかり易いので本体触っただけでオンオフ可能になる。)、シャッターを作動させる為の右手上面ダイヤルは、露出補正ダイヤルとなっている。バルナック型の OVF の位置も、こうして見るとほぼ PEN-F の EVF の設定場所と一致する。

特徴的なフロント部分の丸いダイヤル配置も似通っている。バルナックではこの部分がスローシャッター設定として動作するが、PEN-F ではここが独自機能の肝となる「クリエイティブダイヤル」だ。PEN-F の良い点は色々あるが、特に重要なのがこのフロントの丸ダイヤル。これを操作すると、EVF や背面液晶でリアルタイムにその画像変化を見ながら、モノクロ、そしてカラーのプロファイル変更、オリンパスお家芸の各種 ART Filter 変更等が行える様になっている。

PEN-F で新しい表現を生み出したいアート志向のユーザーには、たまらないダイヤルである。プロファイル・コントロールは、オリンパスの作例ギャラリーの UI が秀逸で、こちらでモノクロ、カラーそれぞれの効果を試す事が出来るので、クリックして是非見て頂きたい。昨今 FUJIFILM あたりも力を入れている、デジタルカメラにアナログフィルムの様な手触りを与える機能が、ここに凝縮されている。当方はまだ使いながら覚えている段階だが、このダイヤルを使いこなすと、PEN-F は一層、面白くなるはずだ。

とりあえず1日半使ってみただけなので、まだレビューを全て語れないが、とりあえず気づいたところを以下に列記する。

・シャッター音は機械式シャッターでも滑らかで静か。更に4方向ボタンから下向きボタンでシャッター「静音」を選べば、デジタル・シャッターとなり全くの無音になる。美術館などでは、5軸手ぶれが効く「サー」音はするものの、静かに撮影することが可能となる。

・EVF - 背面液晶の切り替えは、センサーで自動切り替えにしておくと、背面液晶を裏返して使わず畳み込んでも、なぜか液晶裏面が熱を帯びることがあった。カスタム・メニューから内蔵EVF自動切り替え設定を「OFF」にした方が、背面液晶パネルを裏返すと EVF が点灯、液晶を見える様にすると EVF が消灯する。背面液晶はほぼ裏返して EVF を多用するユーザーは、センサーによる自動切り替えにしない方が良いかもしれない。ここはもう少し使って調べてみる。

・EVF の機能でもうひとつ面白いのは、やはりカスタム・メニューから選べる「OVF シミュレーション」。まるで光学ファインダーを見ている様に、加工されないスルー画像の様な表示になる。ただ、当方は撮影結果が事前に反映された方が良いので、この機能は使っていない。EVF はまあまあ見易いが、X-T10 などと比較すると、視野が狭い感じはある。

・背面液晶を引き出す爪は、ボディのフラット化を意識したのかミニマムで、少しひっかかりが弱い。同様に、切り詰めたせいか、SD カードを取り出す際にも、やや SD を爪でひっかけて出すのが困難。当方は、SD を思い切り押してバネで出す様にしたら何とかなったが。

・電池は、304枚撮影したところで、特に連写機能や画像加工も頻繁にせず、WiFi によるスマホへの画像転送を3度ほど行ったが、それで完全に消費された。1日しっかり撮影する場合には、予備電池があった方が良い。また、残りの電池容量表示も、液晶画面への反映は起動時数秒で、常時表示では無いので、無くなる前に電池容量減少警告が表示される。設定でその警告を早めに出す事も出来るので、心配ならその設定をした方が良いだろう。

・底面は、可動液晶などもありやや特異な形状なので、ボトムケースは純正を利用。ただ、富士フィルムなど、装着していても底面の電池・SD カードの蓋を開けられるタイプと比較し、都度三脚穴をコインで回してケース脱着が必要となるので、面倒さはある。

・フラッシュは外付けで、バウンス機能付きの小型高性能なものが採用されている。電源は本体から取るので別途電池はいらないが、本当は小さくても良いので本体内蔵型にしてもらえると嬉しかった。まあ、明るいレンズを利用すれば、5軸手ぶれ補正もありフラッシュを利用する機会は多くは無いが、逆光での撮影やキャッチライトに使いたい時、内蔵は楽である。

とりあえずの利用数日の初期レビューはそんなところだが、このカメラが好きか嫌いか、と問われると、かなり好きになってしまいそうだ。クリエイティブ機能が充実していて、ボディデザインも個性があり、その上軽くて高性能。

CP+ 訪問初日はフルサイズのデジイチを持ち歩いたので、比較して PEN-F の軽量さはやはり武器だと感じられた。重いボディだと、レンズを持ち歩く本数も制限されてしまう。軽量な m4/3 ボデイなら、レンズを数本持って歩いても苦にならない。更に使い込んで、作例写真を増やすとともに、再度レビューしてみたい。PEN-F には、パーソナルな愛情が湧いてしまいそうだ。そんな個性が詰まった秀逸な新型ミラーレス機である。























中華街だけじゃない!!水上バスにロングウォーク、CP+ と併せて楽しむ横浜、小旅行

カメラの祭典 CP+ 2016 (当方ブログエントリはこちらからどうぞ)も、盛況のうちに 2/25(木曜) - 28(日曜)の4日間で無事閉幕。関係者の皆様、大変お疲れ様。当方は金曜・土曜とそれぞれ昼過ぎから半日ずつ展示会に参加して、5時過ぎには展示会場を離脱。ここ数年パシフィコ横浜を訪れた事で、少しずつ横浜の地理感もついて来たので、今年は中華街や山手以外の「アフター CP+」をそれぞれの夕刻から夜にかけて、のんびりと楽しむ事に。東京都心部より、色々スケールが大きく、海が隣接する横浜を巡る、ほんの数時間の小旅行。無計画に実行した割にはなかなか充実していたので、そのルートを皆様にもご紹介。

まずは1日目。パシフィコ横浜の裏手の海が夕焼け色に染まって美しいので写真を撮りに歩いて行くと、「水上バス(シーバス)山下公園行き、あと少しで出発です」というアナウンスが聞こえたので眺めてみると、平たいシーバスがみなとみらい桟橋に停泊している。これは夕焼けの横浜ベイ撮影には良かろうと、即座に切符売り場へ走る。聞くと乗船料はわずかに420円。平日金曜日夕刻の乗客は、当方以外にわずかに6名と空いている。

早速海に乗り出すと、パシフィコ横浜展示場の裏手の風景や大桟橋の先端部分、それほど遠く無いところに見える茜色のベイブリッジなど、見どころが多い。風景に見とれ、写真を撮っているうちにゆらゆらと、あっという間に山下公園の氷川丸横の桟橋に到着。もちろん地下鉄でも行ける行程だが、海上ルートのパノラマの方が晴れて海が荒れていない日にはずっと気持ちよい。船の時間を見計らって、ぜひお試し頂きたいルートだ。
そして桟橋から山下公園に上陸し、氷川丸や暮れ行く水面などを撮影していると、横浜中華街手前にそびえ立つ、マリンタワーとホテルニューグランドが目に入る。そうだ、思い出した!ニューグランドはスパゲッティ・ナポリタンが日本で初めて発明された場所だった。テレビなどで何度かそれを見ながらも、未食だったので、今日こそはと1階玄関左手の、ニューグランド・コーヒーハウス ザ・カフェへ。

店員さんにお話を伺うと、ナポリタンだけでなく、プリンアラモード、そしてシーフードドリアもこのレストラン発祥のオリジナル、との事。さすがに3品全ては食べきれないので、ナポリタンをメインに、デザートにはプリンをチョイス。ナポリタンは単にケチャップだけでなく、ホールトマトや上質なハムを利用していて、味付けもあっさり、実に美味しい。普段喫茶店で気軽に頼むメニューが、元祖の店に来ると上品で盛り付けも美しいメインディッシュに昇格している。ホテル内の落ち着いた雰囲気も、その味を磨き上げていた。うーん、満足。

そしてこれは予想外だったのだが、デザートのプリンアラモード。添えられた果物が、オレンジ、キウィ、リンゴ、それぞれフレッシュでさすがに完璧だ。アイスクリーム、プリンそれぞれの食感の違いが、口の中で見事なハーモニー。GHQ のご婦人方を喜ばせる為に作ったこのメニューが、今や日本中で親しまれている。驚いたのは、今では誰でも知っている、ウサギの耳の様にリンゴの皮を残すカット方法。これはフランス料理の手法で、ニューグランドのプリンアラモードの評判とともに日本の一般家庭にも伝わったとの事。色々歴史があるのだな、と感心しきり。そして帰路は、すぐ近くの中華街入口の名店、華正楼(かせいろう)で人気の肉まんをお土産に。水上バスからの山下公園、ニューグランド・ディナーコースが、ここに見事完成。


そして土曜日。やはり午後4時半過ぎに CP+ 会場を出て、今度はみなとみらいから、横浜駅方面に徒歩で。地下鉄では2駅だが、歩いてみると意外に近い。ビルの間の大きな歩道や陸橋も、歩きやすく車道と分離して設計されている。ショッピングセンターの MarkIs、そして横浜美術館を見ながら横浜方面に歩いて行くと正面に見えるのが、日産のグローバル本社。Google Maps を見ると、横浜駅への最短距離は、日産本社ビルの中を通り抜ける様になっている。はてさて、とそのまま進むと、本当に遊歩道は日産本社内を横切る様に設計されていた。

ちょうどお台場の Toyota のショールームの様に、そのビル内歩道の上から、日産車の明るい展示場「日産グローバル本社ギャラリー」が見下ろせる構造。これは見学しないと、とエスカレーターを降りると、ちょうど「さらば あぶない刑事」映画撮影で利用された旧型レパードや最新フェアレディZ が展示されている。電気自動車のリーフが好調な「やっちゃえ日産」、展示場にも勢いがある。一通り歩くと、再び遊歩道に戻って、運河を渡ると、そこはもう横浜駅横のそごう。

お目当は昨日同様、肉まんである。しかし本日は聘珍楼の肉まん。筍の刻みが美味しい華正楼のそれとは違って、聘珍楼はシャキシャキとしたクワイの食感がまた良いのである。地下二階の食品売場にそれがあることを知っていたので、今日は中華街ではなくこちらに徒歩で来た次第。無事保冷剤をたっぷりもらって持ち帰り体制を整えたが、せっかくだからと、10階の横浜そごうレストラン街も覗いてみる。すると其処には、非常に広大で落ち着いたレストラン空間「ダイニングパーク横浜」が広がっていた。


あまりに店数も多く、迷路の様に迷う程。ダイレクトリーを見ると、懐かしい店名が目に入った。「竹葉亭」。なんと横浜にもあったのか... 鰻の蒲焼が有名なこの店だが、当方が懐かしく思い出した料理は、「まぐ茶」。竹葉亭独自の醤油ダレに漬け込んだ、あのまぐろのお茶漬けは、かつて東京駅前の丸ビルが建て替わる前、1階に竹葉亭が有り、社会人初期の商社時代に頻繁に通った懐かしい味。店名を見た瞬間、その記憶が味とともに舌に蘇った。これは寄らざるを得ない。

なぜか 竹葉亭横浜店のメニュー紹介にも、それがしっかり説明されている通り、

丸の内のビジネスマンには鮪茶漬のファンが圧倒的に多い。というのも竹葉亭丸ビル店で先輩から「まぐ茶」の洗礼を受けた新入社員は、その味が忘れられず、長期出張から戻ればまず「まぐ茶」。

もう全くその通り、なのである。入社初期に丸ビルの竹葉亭に通った人たちの頭は、まぐ茶で完璧に洗脳されてしまっていたのだ。当方ももちろん、その一人で、丸ビルが建て替えられ、竹葉亭がレストランの中に無い事を知った時の喪失感は大きかった。そのまぐ茶と今、横浜で偶然、再会したのだ。横浜で食べる東京の味、ではあるが、この貴重な機会を逃す訳にはいかない。


小ビールを頂いていると、やがて出てきたそのまぐ茶は、昔と変わらず、少しとろっとした濃い味の醤油ダレに、新鮮な鮪が漬け込まれている。うん、美味い、これこそあの時の味だ。最後にこれを食べたのは、もう20年ほど前になるのだろうか....。感動で涙が出そうだった。最新デジカメの展覧会、CP+ 締めの夕食は、懐かしい丸ビルの思い出と交錯する、竹葉亭のまぐ茶だった。銀座三越近くにも本店があるのだが、未訪問だった。これを機会に銀座店にも伺わねば、と心に誓う横浜の夜であった。

ということで大人の横浜小旅行、如何でしたでしょうか。皆様も是非、足を伸ばされてはいかが。












SIGMA ブース大盛況の CP+ 2016 で新製品 sd Quattro と 30mm f1.4 DC DN に触って来ました

例年通り、今年もパシフィコ横浜で開催の日本最大のカメラと写真の展示会、 CP+ 2016 へ。 何度も行っていると、だんだんコツがわかって来るのだが、空いているのは二日目(初日は初物を見たいプレスでごった返すし、最後の二日は週末)、入場登録はあえて皆がランチを食べに出る11時半以降...ということで二日目にゆったり出かけたら、会場前で黙々と歩いている時にいきなり名前を呼ぶ方が!誰かと思えば SIGMA の山木さん。

これはもう、今年も SIGMA 縛りで見なければいかん、という事で、SIGMA ブースでの講演をベースに会場を練り歩き。シグブラsasurau 三井師匠による、Foveon と Quattro の魅力に迫る作例満載講演(なぜか某中野のカメラ店の方が作例にw)、山木さん自らの sd Quattro 他 SIGMA 新製品に関する Innovative な講演(2日目講演のマックお宝探偵団さんによる動画はこちら)、

Island Gallery 石島さんによる、超広角で歪みが無い dp0 Quattro を活用した、等倍鑑賞を楽しむ都市夜景の撮り方などなど....どれを拝聴しても為になるものばかりで、ブースも毎回満員御礼。すべて無料でこれが聞けてしまうのは申し訳ない様な、素晴らしいレクチャーの数々。会場では、気になっていた直前発表の新ボディ SIGMA sd Quattro と m4/3 用の明るい新レンズ、30mm f1.4 DC DN をじっくりと触ってその出来栄えを確認。

sd Quattro の Touch & Try 待ち列は、前日の初日より短く、20分程度で触る事が出来た。想像より軽量で、グリップも握り易く、EVF の出来はまだ完成途上の様だけれど AF は噂通り高速に決まる(三井師匠が驚く程)。EVF の位置は背面やや右側で、光軸とは少しずれがある。軽量ボディだが高性能ガラスを利用するが故にやや重量がある SIGMA の単焦点系レンズを装着しても、前後の重量バランスは悪く無い。シャッターボタン近くの Lock スライドスイッチは、ボタン類の誤操作を防ぐ為のもの、との説明。視度補正のダイヤルは、上に引き上げて回すタイプ。発売時期は未定としながらも、3900万画素相当 APS-C の sd Quattro は7月頃には出したい、と山木さん。5100万画素相当のQuattro-H は年内のリリースを予定、とのこと。SIGMA ファンの皆さん、首を長くして待つべし。

一方の m4/3 用 30mm f1.4 は、とても軽量な小型レンズで好感。このレンズが装着できるなら、と、近々導入予定の新規小型ミラーレスボディは Olympus PEN-F に心を決める事が出来た。少し気になっていた C(Contemporary) シリーズ表記については、SIGMA の場合すべて光学対応で絵作りをするレンズのみが Art シリーズになる、との説明で一安心。30mm f1.4 は高性能レンズながら、m4/3 フォーマット故に電子的な補正も入るので、C シリーズ、との説明が山木さんの講演で。こちらは近々利用可能という事で、3月18日の発売日が楽しみ。

その他展示品では、やはり事前情報で気になっていた Pentax 初のフルサイズ・デジイチ、K-1 をじっくり試す。こちらも待ち列は二日目なら20分も無いぐらいで、実機を触る事が出来た。4本のステーで自在にグリグリ動く背面液晶は素晴らしく良く出来ている。レンズ接合部、SD カード収納部、操作ボタンを照らす様に各所に配置された LED も、ユーザーの事を考えて設計されていると感心。Nikon 同様、APS-C サイズ用の既存レンズも、そのままこのボディで使える配慮も嬉しい。

フルサイズカメラボディは Canon 6D でシステムを揃えてしまっているのでおいそれと移れないのだが、今からフルサイズを買うとすると、七十万円以上もする Nikon や Canon のフラッグシップよりも、K-1 を買いたい、と強く感じた次第。蛇足ながら、当方は Marc Newson デザインの一文字違い、Pentax K-01 ユーザーなのだが、発売当初定価 27,000 円もした K-01 専用の四角い牛革ケースが、アウトレット会場の Ricoh / Pentax ブースで 2,000 円と大安売り。ミラーレスにパンケーキレンズを付けている方にもピタリのサイズなので、ぜひ購入をお勧めしたい。

Canon ブースでは、当方が愛用している富士山撮影専用(笑)カメラ、高倍率ズームコンパクトの PowerShot SX700HS の後継、PowerShot SX720HS をお試し。30倍ズームが 40倍になり、天井部がフラットになって少し小型化、地味だが進化している。5軸手ぶれ補正を備えた本機は小型ながら手持ち撮影でも高倍率望遠で撮れる本格派なので、旅の荷物を軽くしたい向きにはお勧めの一台。これで EVF が付くと文句無いのだが、それを加えると Panasonic の Lumix TZ85 ぐらいのサイズになってしまうのだろうか、現状の技術では。

Canon ブースでは新型中級機の EOS 80D も展示されていて何気なく触ってみたら、その AF の速さと正確さに驚愕。聞けば45点のクロスで測距していると。速い訳だ。光学ファインダーの視野も、上級機と同じ 100%。そして、愛機の EOS 6D の背面液晶と比較して、クリスプで明るい液晶画面。液晶ライブビュー状態での AF の速さは、もはや 6D と比べるべくも無い...。これは売れる。

Canon はやはりこの手の商品作りが上手だ。APS-C 光学ファインダーのデジイチをこの春買うなら、これはお勧め。新規開発されたキットレンズの EF-S 18-135mm f3.5-5.6 IS USM も超音波で静音・小型軽量、4段分の手ぶれ補正が効いて申し分無し。7D Mark II も素敵だけど 910g のボディはちょっと重いよね、と感じていた向きには、730g の 80D がグッと来るはず。

そして、m4/3 ユーザーとして、予想せず会場で見つけてびっくりぽん、になったのは、Z Cam E1。m4/3 マウントで、背面液晶もついた超小型カメラ。ドローン搭載も、アクション・カメラの様な利用も可能で、16百万画素。静止画も、4K 動画撮影も対応。Olympus Air のボディ部が四角になって、液晶が付いた様なそのフォルム。現在日本では WiFi の認証取得中で、2ヶ月ほどで Sightron から発売予定、との事。GoPro の様な m4/3 カメラ、国内価格は十万円程度になる、という事で安くは無いのだが、「Olympus Air に液晶がついていたらな」、と思っていたあなたには注目の一台。

結局2日目金曜日、3日目土曜日と年に一度のカメラ好きの祭典 CP+ を満喫して、カメラケースなど革製のカメラ用品で新進気鋭の COTTA ブースでアンケートに答えるともれなくもらえる、手作りで高品質な小型革製コインケースを頂いて、横浜そごうの B2 階で 聘珍楼の肉まんをお土産に帰路についたのであった。

実は CP+ は、展示会の後に寄ると楽しめる横浜の名物スポットが各所に。地下鉄で中華街に行くのは定番だが、それ以外の楽しみもいくつかここ数年で開拓したので、次回エントリでご紹介










2016年2月21日日曜日

[Review] FUJIFILM X70、RICOH GR シリーズを凌ぐ、28mm スナップカメラの完成度

予約して待っていた FUJIFILM X70 がようやく、正式発売となった。28mm レンズと APS-C サイズでデジイチ並の大きさの CMOS を備えた高級コンデジとしては、(かつての NIKON COOLPIX A もなりを潜めて) RICOH GR シリーズ一択の時代が続いていたが、やっとそのライバルが出現した訳だ。発売されるまでは、 FUJIFILM X30 の延長にあるのだろうと思っていたのだが、実物を触ってみるとその質感や UI から、FUJIFILM X100 シリーズやミラーレスカメラの X-T10 から EVF を取り除いて小型化し、さらにブラッシュアップした万能スナップシューターとしての位置付けが強いと実感された。

X100、X-T10 そして X-T1 で好評を博している、独立したシャッタースピード、絞りダイヤルを持ち、伝統的なアナログ操作感と先端デジタル技術に基づく高い機能性を融合させたそのスタイルは、クラシックカメラ・ユーザー、そしてスマホからステップアップしてくるデジタル・ネイティブ世代双方に受け入れられ得る資質を備えている。

X70 を手にしてまず気づくのは、ボディのしっかり感。背面の可動液晶やダイヤル、ボタン類のひとつひとつ迄きちんと作り込まれて居り、電池込み 340g の質量より、最初はズッシリと感じられる。そしてこのしっかり・ずっしり感はそのまま、日々利用する上での安心感につながる。シルバーモデルのシャッターボタンの色合い、作り込みがまた素晴らしい。黒でなくこちらを選択した理由はここにある。


当方は普段、FUJIFILM 製のミラーレス機、X-T10 を利用していたのだが、軍艦部右肩の辺りのボタン配置は、X70 とほぼ重なるので、その点からも利用し易い。シャッターボタン周囲に電源 ON/OFF スイッチが配置されているのも、咄嗟のスナップチャンスに備える X70 の素性に見合うものだ。X70 では、X-T10 では左肩にダイヤルとして設置されていた「DRIVE」ボタンが右肩に置かれていて、連写やブラケティング、パノラマ撮影はこのボタンを押す事で瞬時に切り替え可能となっている。

再生ボタン、削除ボタンが可動液晶上部に配置されている点はユニークだ。可動液晶を好みの角度に固定したままで、再生・削除操作が手軽に出来る。そして X シリーズでは初となる(意外!)タッチ液晶の搭載も、GR と比較したアドバンテージ。液晶画面右手のソフトボタンを押す事で、OFF/SHOT/FOCUS が切り替わる。SHOT モードは一押しすると押した場所にピントを合わせて撮影迄完了してくれる。FOCUS モードでは、合焦位置を指先で指定出来る。もうすぐ発売される最上級機、X-Pro2 ではジョイスティックでフォーカス位置を自由に変えられるのだが、液晶上を指先で触れて合焦点を変えられる本機も中々便利だ。

そしてもう一つ。レンズ周囲の刻みが入ったコントロールリングを回すと、設定次第で多くの機能を呼び出せる。デフォルトでは、銀塩フィルム換算 28 - 35 - 50mm とクロップ範囲が瞬時にフル画面に表示されて切り替わるので、まるで超高速に動作するズーム機能を使っているかの様なフィーリングだ。APS-C サイズと大きな CMOS を使っているので、クロップ後の画像も Web 等で見る上では全く問題無い品質に仕上がっている。広角レンズから標準レンズ相当の画角まで、この一台で十分使いこなす事が出来る。勿論、マニュアルフォーカスモードに左前面のボタンで切り替えると、このリングがフォーカスリングになる。背面右上のダイヤルを押すと、フォーカス部分が拡大され、ピント合わせを行い易くしてくれる。

本日土曜日はあいにくの雨模様であまり撮影枚数を稼げなかったが、室内・屋外で、いくつか作例写真も撮影したので参考までご覧頂き度い。(flickr Album の作例写真はこちらからどうぞ。)

これまで利用して来た X-T10 + FUJINON 18mm f2 パンケーキ・レンズの組み合わせ(その組み合わせの flickr Album もこちらに。)と比較して、ずっと小型で薄型になりながら、撮影画質はほぼ同等だ。CMOS、映像エンジンが同じなので、当然といえば当然なのだが、普段散歩中に写真を撮影する事が多い当方にとっては、この小型・軽量化は非常に嬉しい。

RICOH GR シリーズと比較した X70 のアドバンテージとしては、まとめると、

・背面液晶が、180度反転の自分撮りも可能な可動タイプ
・アナログダイヤルが豊富(絞り・シャッタースピードも専用・独立ダイヤル操作)
・1/4,000 秒迄のメカニカルシャッターに加えて、1/32,000 秒までの電子シャッターの装備
・スマホと繋いで使う WiFi 画像転送アプリ FUJIFILM CAMERA REMOTE が使い易い
・デジタル・テレコンの操作が容易
・重厚なボディの造り
・充電用の USB が特殊ではなく通常のマイクロ USB ケーブルで OK
・富士フィルムならではの、アナログフィルムを模したフィルム・シミュレーション

などが挙げられる。一時代を築いて来た RICOH GR にも良い点はたくさんあるものの、X70 の挑戦を受けて、次期 RICOH GR3 はさらに操作性・機能を磨いて来るに違いない。その競争の行方を見守りつつ、今は FUJIFILM X70 を使って行こうと思う。

困るのは、X70 が良すぎて、今後購入予定だったより大きな上級カメラがもう必要無いかな、と迄思えてしまう事。まずは2月末に迫ったパシフィコ横浜での CP+ で、各モデルをチェックせねば。SIGMA からも新製品は出るのだろうか。