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2015年3月21日土曜日

[レビュー] CASIO EXILIM EX-ZR1600 の Bluetooth Smart による iPhone 連携は最強

2015年の CP+ 会場で多くのデジカメ新製品を触る中で、気になったカメラのひとつが CASIO EXILIM EX-ZR1600。外観は全く普通のコンデジなのだが、そのデジタル機能は超先進的。CASIO お家芸の超高速撮影機能を駆使して、背景ボケを自動演出したり、逆に前景から背景までの全てにピントを合わせて合成したり、秒間1000コマ(!!)の超高速動画を撮影したり、16百万画素の最高品質で秒間30枚の静止画連写を実現出来たり。
詳細な各機能説明は CASIO の Web カタログを参照頂くとして、iPhone や Android ユーザーが気になるのは Bluetooth を利用した常時接続による、スマホ連携機能であろう。当方もさすがに CP+ 会場の短いテスト時間でその機能を試しきれなかったので、3月20日の発売日に購入して、スマホ・アップロード機能を iPhone6 Plus との連携で試してみる事にした。結論から言うと、これは非常に実用的だ。WiFi 機能が内蔵されていながらあまりカメラとスマホをつないでいなかった層にも、Bluetooth Smart による自動アップロード機能があれば、連携の機会が広がるはずだ。
まずは App Store から CASIO 純正連携ソフト、「EXILIM CONNECT」を無料ダウンロード。 アプリの説明に沿って、自動連携の為のプロファイルを iPhone6 Plus にインストールし、Bluetooth / WiFi それぞれでカメラとスマホを接続設定すると、後は ZR1600 で撮影する毎に自動的に撮影画像が iPhone に無線アップロードされる。実にシンプル。iPhone6 Plus 側で、EXILIM CONNECT ソフトを立ち上げて置く必要はあるが、これはバックグラウンドで立ち上がっていれば OK。WiFi アクセスポイントが他にある場所では都度 WiFi を繋ぎ直す必要はあるが、WiFi が混線しない様な場所であればほぼ自動的に動作してくれる。iPhone への画像転送がうまく行っていると、Nofification で知らせてくれるので、確認もし易い。
購入前は、Bluetooth だけで全てのコネクションや転送が行われるものだと思っていたが、それは初期接続・アプリ初期連携を担当する様で、高速で転送距離が長い WiFi が実際の画像転送路として利用されているという点は注意が必要。画像を送信し切ってしまうと、その後は Bluetooth Low Energy (BLE) 規格に沿って電力消費最小限で常時接続されている為、スマホやカメラの電池が大きく減るという事も無さそうだ。この点はしかし、更に検証してみる。WiFi 接続が悩むと電力消費負担が大きいはずなので、他に接続可能なアクセスポイントでそうさせない工夫は必要そうだ。
本機のもうひとつの利点は、180度反転可能な背面液晶と、カメラ前面に設置された「フロント・シャッター」を利用しての自撮り機能。これも実に具合が良い。iPhone6 Plus 単体で自撮りをすると、シャッターが押しにくい上にフロント・カメラの解像度が低い為に満足出来る写真を撮れない事が多かったが、ZR1600 ではフル解像度 16百万画素を活用し、しかも左手親指で押しやすい位置にフロントシャッターが設定されている。なるほど、と思ったのは、レンズ・リング上の小さな突起。フロントシャッターを押す時に、親指先端をこちらにかける事で、シャッターを押す動作が格段に楽になる。自撮り対応カメラ開発歴の長い CASIO のハード設計、流石である。
ただし、あまり感心できなかったのは、自撮りモードの時に活用出来るはずの「モーション・シャッター」機能。P モードに設定していると、液晶を反転させるとデフォルトでこの機能が同時に立ち上がる。画面右上に表示される手のひらマークの上に手をかざすと、3秒後にシャッターが切れる仕組みで、うまく働くと便利なのだが、いかんせん誤動作が多い。手のひらをかざしても動かない時もあれば、かざしていないのにカメラ画像が少し動いただけでシャッターが起動してしまうことも。こちらの精度アップにはまだ詰めが必要そうで、当方は結局、設定メニューからモーションシャッター機能は「切」にしてしまった。Firmware Update による改善を待ちたい。
重量や厚みも装備重量で 242g・3.4cm と、最近のスマホの小型軽量化を考えるともう少しスリムにして欲しいところ。ただし、その分カメラとしては握りやすいものになっている。当方 EXILIM というブランド名を聞くと、どうしてもかつての同社製・超薄型デジカメを思い浮かべてしまうので、今後はそういう方向も是非もう一度探って欲しい。多少価格を上げても、薄いカメラならより、欲しくなる。

以上、時々 WiFi がうまくつながらなくなる事を含め多少の不満はあるが、デジタル的な機能の豊富さ(ちなみに最後の写真は、アートショットモードから、宙玉(そらたま)機能を利用の作例)とスマホ自動連携機能は、それを補って余りあるという感じがする。

日々持ち歩くスマホに、もう一台、スマホとは機能がかぶらない高性能なカメラを、という向きには、フルサイズ換算 25-450mm 相当となる18倍光学ズームと、夜景撮影に強い5軸手ぶれ補正を備えた本機は、良い選択肢となるはず。尚、当方が撮影した作例写真は、こちらの flickr album にてご覧下さい。







2015年3月1日日曜日

[レビュー] Olympus OM-D E-M5 Mark II にジャストサイズな小型軽量レンズ m.Zuiko 25mm f1.8

前回レビューした通り、ズームレンズながら PRO の称号を冠した m.Zuiko12-40mm f2.8 レンズは、ボケ味もなかなかで素晴らしい。しかしあえて欠点をあげるとするとその質量。カメラ本体が電池やメモリカードを含んで 469g に対し、レンズ重量は 382g。スペックや性能からすると決して重いとは言えないが、m4/3 システム用レンズとしては重量級である。大きさも明るさを追求しているためそれなりだ。散歩用に気軽に連れ出すデジイチと位置付ける為には、もう少し軽い常時装着用レンズが欲しい。15mm 〜 25mm の選択肢を考えて、いくつか店頭で試してみる。

以前愛用していた Pana-Leica Summilux 25mm f1.4 はボケ味では申し分ないのだが、Olympus のボディに装着すると、なぜか常時絞り羽根がカサカサと動き続けて異音を発する。静かな場所では気になるほどの音だ。もうひとつ、これまた気に入っていた(詳細は以前のブログエントリーご参照) Pana-Leica Summilux 15mm f1.7。こちらの描写もなかなかなのだが、レンズにせっかくついている絞りリングが、Olympus ボディでは連動しないことがわかった。同じ m4/3レンズでも、Pana - Olympus 間で最近は独自仕様もあるという事だ。このあたりは注意が必要。

最後に Olympus m.Zuiko 25mm f1.8 を装着すると、これは E-M5 mk2 とのバランスが非常に良い。かつてのアナログ OM シリーズのボディとレンズのマッチングを思い出させる様な外観になる。E-M5 mk2 にはペンタ部がオールド・オリンパスの様なシャープさがあり、小型レンズを装着すると、まるであの頃のカメラが蘇った様な雰囲気を醸し出す。フジヤカメラ店頭で数枚テスト撮影をしてみると、ボケ味も悪く無い。質量もわずかに 137g、iPhone6 が 129g なのであまり変わらないぐらいの軽量。ということでこのレンズに最終決定。

晴天となった2月最後の土曜日、早稲田から神楽坂経由飯田橋まで Photo Walk をする中で、早速レンズの実力をチェック。結果はこちらの flickr album を参照頂きたいが、焦点があった部分のシャープさと、ボケ味の豊かさが同居する、非常に使いやすいレンズだった。f1.8 なので、同じ焦点距離の Summilux 25mm f1.4 (Lumix GX7 との組み合わせ当方作例はこちらでどうぞ)ほど近接時のピントに神経質にならなくて済み、写真散歩で気軽に使えるレンズである。シャッタースピードがデジタルシャッターにすると最大 1/16,000 秒まで使える E-M5 mk2 なので、明るいレンズを日中使っても全く問題なく、開放でボケ味の良い写真を撮影可能だ。前景の白梅が、背景の神楽坂赤城神社の鳥居の程よいボケ具合で、浮き上がる様に撮影出来た。

この組み合わせは、夜景も勿論得意だ。場所を新宿西口に移して、いつもの小田急ハルクへの連絡橋の上から撮影。いろいろシャッター速度を変えて撮影してみるが、そういえば E-M5 mk2 の強力な5軸手ぶれ補正機能はどうだろうと、最大1秒のロングシャッターに挑戦してみた。橋の欄干に肘は置いたが、三脚などは使わず、手持ち撮影で1秒シャッター。その結果が左の写真である。

1秒なので信号が青に変わった直後のクルマの光跡が長くなっているが、それ以外の部分はしっかり止まっている。明るいレンズを f8 まで絞り込んでの1秒シャッター。この組み合わせ、相当夜景撮影には強そうである。

次は、4千万画素のハイレゾショットにも挑戦してみることにしたい。描写の良いレンズなので、高精細画像でもその実力を発揮してくれそうだ。