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2017年11月15日水曜日

[Review] ネオ一眼 Sony CyberShot RX10 Mark IV は iPhoneX を補完する万能デジタルカメラ


広角から超望遠迄の幅広い焦点域をカバーする高倍率ズーム・レンズを備え(銀塩フィルム換算 24-600mm)、しかもそのレンズは全域で明るく (f2.4-4) 、複数の重いレンズを持ち運ぶ必要が無い「ネオ一眼」と呼ばれるジャンルのカメラ。

最近品数が増え始めていて、欧米ではブームになりつつあると聞いていた。当方は複数機種を試しては購入の決断にまでは至らず、という状況が続いていたのだが、思い入れを持てない理由はレンズの品質と AF の不完全さにあった。

AF スピードと確実性に確信が持てず、そして CMOS サイズや映像エンジン性能による画質の不十分さもまだまだあった。それはあくまで、上級モデルのデジタル一眼レフや最新のミラーレスカメラとの比較によるものだったのだが。

しかし最近になって、Panasonic Lumix FZH1 が登場したあたりから、風向きが変わって来た。既存の中・上級デジタル一眼レフ・ユーザーでも満足が行く程の光学・デジタル仕様を兼ね備えた本気の上級モデルのネオ一眼が、市場に出始めたのである。価格的にも、上級モデル相当ではあるのだが。当方も店頭でテストを重ね、ついに手に入れてしまったが最新機種の Sony CyberShot RX10 Mark IV。早速ブログ・レビューを行ってみたい。

電子ビューファインダー(EVF)を覗いた時の、ミラーレス・カメラ上級モデルに近い視野の広さ(0.7倍)と高精細な236万画素の OLED 液晶は表示の遅さも感じられない。

Zeiss Vario Sonnar T* レンズは6枚の非球面レンズを装備。そして何と言っても最新モデルの Mark IV に奢られた AF スピードとその性能に感銘を受けた。コントラスト AF と像面位相差 AF を組み合わせた「ファストハイブリッド AF」は、なんと 0.03秒で AF 合焦できる世界最速を誇る。

315点と多数の AF センサーで、高速に動く被写体も逃さない。Sony のショウルーム説明では、「AF は当社の α9や α6500 に負けない性能です(きっぱり)」。実際店頭で EVF を覗いてテストしてみると、確かに凄まじく高速であることを実感。これなら良かろうとついに「あなたの街のカメラ店、フジヤカメラ」で購入を決断。

早速撮影テストの為、本機を連れ出した先は葛西臨海公園・鳥類園。京葉線の駅から徒歩すぐの場所で、水辺の鳥を気軽に撮影出来るディズニーランド手前の埋立地の公園だ。

荷物を詰め始めて、ネオ一眼の利点にはすぐに気付く。これまで野鳥撮影には EOS 6D に 70-300mm レンズと SIGMA の 24-70mm f2.8 ズーム、或いは FUJIFILM X-E3 に 18-55, 55-200mm ズームレンズの二本、といった重量感のある組み合わせで出かける事が多かったのだが、これが1台で済んでしまう。しかも 24-600mm と、超望遠域までこのコンパクトさでカバー出来てしまうのである。

長時間、ぶらぶら撮影や旅行に行く時には、この身軽さが武器になる。電源オフ時にレンズが沈胴し、本体側に重さのバランスが来るので、肩や首にかけても持ち運びが苦にならない。長くて重い通常の望遠ズーム・レンズとはここが大きな違い。長いレンズは、持ち運びで嵩張るし、重心バランスの取り方が難しい。

もちろん、デジイチやミラーレス専用のレンズはそれぞれ素晴らしく作り込まれているし、仕上がり画質は申し分無い。だが、良いシャッターチャンスというものは突然、広角側に来たり、望遠側に来たり。その都度レンズを交換するのは非常に面倒。交換時に埃が入る可能性にも慎重にならざるを得ない。それに比べると、ネオ一眼は、本当に気軽なのである。

コンパクトで、しかも高性能を兼ね備えてしまえば、ネオ一眼を使わない手は無い。超望遠端の 600mm は、遠くに居る野鳥撮影には少し足りない部分もあるが、1インチ CMOS と大きめの CMOS 装備なので、トリミングをしてもそれなりに画像を楽しめてしまう。ここに載せた鳥や飛行機の写真は、オリジナルから切り出して居る。




左手に見えるディズニーランドを 24mm の広角レンズで葛西臨海公園の浜辺からまず撮影し、それを 600mm 超望遠で引き寄せると、豆粒ほどだったシンデレラ城の様子が詳細にわかる。


さてその後は、午後3時発の水上バスで、葛西臨海公園からお台場経由、隅田川を遡って両国まで、1時間半のゆったり船旅。ここでも、CyberShot RX10 Mark IV はいかんなくその実力を発揮してくれた。このあたりを船で走ると、なぜかカモメがついてくることが多いのだが、揺れる甲板の上から飛翔するカモメに 600mm 超望遠レンズでピントをしっかり合わせるのは、通常のカメラではなかなか大変。しかし RX10M4 のAF は、特に気合いを入れる必要も無く、Continuous AF モードで動体に追随、難なく撮影をこなしてくれる。偶然交差した飛行機との一瞬の構図も、バッチリ決まるのである。これには恐れ入った。運動会他の動く被写体撮影機会でも、これならそれほど肩に力を入れず、リラックスして撮影をこなせるはずだ。

iPhone8 や iPhoneX の登場で、日常の広角から標準画角の撮影はもっぱら高性能なスマホに任せる事が出来る様になった昨今、スマホとは圧倒的に違う画角、迫力のある写真を、しかしスマホを扱う様なライトな気持ちで超望遠域まで拡大して撮影出来るカメラとして、ネオ一眼はスマホだけに飽き足らないユーザーに受け入れられて行く様に思う。最後に超望遠の圧縮効果の写真をサンプルに置くが、船の科学館、レインボーブリッジ、東京タワー、六本木ヒルズを1画面に寄せるというのはスマホ画角ではなかなか難しいのである。

ここ一番の、失敗出来ない記念撮影をしたい時にはデジタル一眼レフを引っ張り出すことになるが、当方もそれ以外はスマホとネオ一眼で。腰にも優しい、良い時代になったものだ。

(追記)夜景作例写真など、Sony CyberShot RX10 Mark IV で撮影した写真は、こちらの flickr album に貯めていくので、興味ある方は時々見てみてくださいね。

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