最近のコンデジは以前より大型の1インチ CMOS (撮像素子)を装備しているものが増えてきた。一方で、デジタル一眼レフ並の更に大きな APS-C サイズの CMOS (ちなみに、1インチ CMOS と面積比較をすると、APS-C は約3倍弱にもなる)を内蔵した機種というのは、RICOH GXR のレンズユニットあたりから始まり、FUJIFILM X100 シリーズや RICOH GR シリーズで受け継がれたものの、ズーム・レンズを備えた APS-C 小型機は、なかなか登場せずにいた。
APS-C サイズに対応するレンズ・ユニットの開発やコストの問題だと思われるが、むしろ、各カメラ・メーカーが注力する領域が交換レンズの売上も期待できる、レンズ交換式小型ミラーレス・カメラが中心となった事もあって、固定レンズの APS-C コンデジというのは、忘れ去られたかに見えていた。
APS-C サイズの CMOS を積んで、電池・SD カードまで含めた装備重量はわずかに 399g。当方が普段利用しているフルサイズ・デジタル一眼レフの EOS 6D (装備重量 755g) + SIGMA 24-70mm f2.8 ART レンズ (1,020g) の合計が 1,775g にもなるので、レンズ込み 1/4 以下の総重量だ。Canon 製の二つのカメラを並べてみると、親カメ・子カメ、といった雰囲気。G1X MarkIII はこの大きさで、EOS 7D MarkII の 2,020 万画素を上回る 2,420 万画素の CMOS を内蔵している、というのだから、技術の進歩には目を見張るものがある。ボディやレンズの塗装も手を抜かず、しっかり仕上がっているところはさすが Canon。流麗なデザインも今風。握りやすいグリップの効果もあって、手にした時の安心感は、小型機ながらかなりのものだ。
しかし、Canon PowerShot G1X MarkIII が、APS-C 小型機分野のホープとして、昨年11月末、不死鳥の様に現れた。固定レンズの焦点距離 24-72mm 相当で f2.8-5.6 というレンズ・スペックは、ハイエンド・コンデジとしてはもう少し明るさを期待したいところもあるが、ボディ内に収まる沈胴式の小型レンズとするには、とりあえずこの辺りが無理の無い設計が出来る範囲だったのではないだろうか。
実際に各所で撮影してみると流石に、f2.8 通しの素晴らしいフルサイズ対応のレンズ描写力には及ばない(ちなみに EOS6D と SIGMA 24-70mm f2.8 DG Art レンズの作例写真はこちらの当方 flickr アルバムでご確認を)ものの、コンデジでここまで写るのか!!、という撮影結果は、昼夜の撮影でも十分確認できた。G1X MarkIII の作例写真は、ぜひ当方の flickr アルバムでご覧頂きたい。
困った事に、この大きさ・重さで手軽に撮影出来てしまうと、これまで使って来た m4/3 や APS-C CMOS のレンズ交換式ミラーレス・デジカメの出番が今年は随分減ってしまうかもしれない。24-600mm まで撮影可能な 1インチ・デジカメの Sony CyberShot RX10 MarkIV あたりには「小型で超望遠」という他に無い武器があるので何とか厳しいデジタルベアーズ・デジカメチームのポジション争いを生き延びそうだが、突然 G1X MarkIII の様な軽量で機動性の高いルーキーが参加すると、そのポジションを奪われるカメラも今年は続出するかもしれない。まずは G1X MarkIII をしっかり活用してみるとしよう。今年最初の1台、とりあえずそのパフォーマンスの高さに満足です。
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