Translate to your language.

2017年12月30日土曜日

Digitalbear's Gadget of the Year 2017 (6)デジタルカメラ本体編

2017年、デジクマ的ガジェット・オブ・ジ・イヤー、いよいよフィナーレへ。近年のガジェット・レッド・オーシャンは間違い無くデジタル・カメラ本体。激しい戦いのフィールド。レッド・オーシャンは二つの戦場で展開されている。一つは、スマホ・カメラからの突き上げが激しい、コンパクト・デジカメ市場。iPhoneX の様な、小型だが液晶画面が大きく、二眼レンズでズームが出来、背景ボケのデジタル生成まで可能なスマホ・カメラが登場した事で、コンデジ市場は瀕死状態。カメラ店の店頭を見回しても明らかに、製品数が大幅に減少している。カメラ・メーカー的には 1-1.5インチサイズの大型 CMOS の搭載で差別化を図ろうとしているが、高倍率ズームの採用など、スマホ・カメラとの明らかな違いを示す必要性がより高まった2017年だった。そして二つ目の戦いは勿論、中〜上級デジイチの市場。Nikon D850、Sony α7R III、α9、Canon 5D MarkIV 等、30−40万円以上もする価格帯で高級デジイチがしのぎを削る。二つ目の上級デジイチの市場については、次のエントリーで触れるとしよう。

ルーキー iPhoneX の潜在能力の高さを知って、デジタル・ベアーズ・デジカメ1軍チームからも、高級コンデジと呼ばれたジャンルが姿を消しつつある。GRII が消え、G9X MarkII が去り...やや寂しい状態の中で、テコ入れを図った分野が、小型ミラーレス。コンデジほど小さく軽くは無いが、デジイチより軽く、レンズを2−3本携行しても、持ち出しが苦にならない。そして映像エンジンのブラッシュ・アップや交換レンズの圧倒的な光学パワーで、スマホ・カメラとの仁義なき戦いを勝ち抜こうとしている。昨年はマイクロ・フォーサーズ中心としていたが、今年は FUJIFILM から X-E3 という小型・軽量機種が登場。使い勝手は背面に AF ポイントを自由に変えられるジョイスティックを採用、上級機種と同じ CMOS・映像エンジン採用で強力にアピールした。23mm f2 レンズ(フルサイズ換算 35mm)の高性能・コンパクトさも有り、ミッドフィルダー的役割を担う万能選手として活躍している。詳しくは、当方ブログの10月のエントリー、「[REVIEW] FUJIFILM X-E3 は現行機種最高レベルの小型ミラーレス・デジカメだった」をお読み頂き度い。ミラーレスカメラ、色々あるがどれにしよう、と悩んで居られたら、FUJIFILM らしい映像エンジンの色再現性の美しさもあり、ビギナーから中級ユーザー迄、強くオススメ出来る1台だ。

そして、デジイチのジャンルの中で、もうひとつ当方の心の琴線に触れた1台は、ネオ一眼と呼ばれる、交換レンズを不要とする高倍率固定レンズカメラのジャンルから、Sony CyberShot RX10 Mark IV(RX10M4)。最近の Sony は1インチ・デジカメの市場で毎年の様に新モデルを送り出して居るが、RX10M4 には、かなり響くものがあった。前機種から比較し、AF 合焦速度がデジイチのαシリーズ最新機種並にスピードアップされたのだ。そして、最大ズーム焦点距離は 600mm。野鳥の撮影を行う時、300mm 望遠ではちょっと不足感がある。やはり 600 - 800mm 程度は「最低でも」欲しい。そして明るいレンズでないと、高速移動・動作する野鳥撮影ではブレが生じる。だがデジイチで明るいレンズを装着すると、かなり長く、重いレンズになってしまうのだ。RX10M4 はレンズ・ボディ合わせた重量は約 1.1キロと軽くは無いが、f2.4-4 の 24-600mm 広角〜超望遠ズームレンズを装着していると考えると、野外に持ち出す気持ちにさせるカメラなのだ。

詳細は当方の11月のブログ・レビュー「[Review] ネオ一眼 Sony CyberShot RX10 Mark IV は iPhoneX を補完する万能デジタルカメラ」を参照頂きたいが、 iPhoneX に無い部分を補い、一台でほぼ全ての撮影シーンをカバーする、万能感の高いリベロ的役割のカメラである。特に超望遠領域での威力は素晴らしい。

コンデジ新製品ではスマホに勝る魅力を備えたパンチ力のあるデジカメ登場が無かったのは残念。しかし、海外市場を見渡すと Light L16 の様に新規性があり、カメラ好きする機能と小型軽量を兼ね備えた新ジャンルのカメラも開発されている。カメラメーカーは、知恵を振り絞り、クラウドサービスを組み合わせた形で、新しい開発提案を行って行かないと、あっという間に時代に取り残されてしまうだろう。

もちろん、利ざやが大きい中・上級機種の戦いのフィールドで、生き残りを図るという考えもあるだろう。しかし、重く大きいカメラは、決して万人のものではない。スマホの厚みと処理能力で実現できる技術を十分理解した上で、独創的なカメラ創りを目指して頂きたい。

0 件のコメント: