満を持して発売された、Canon PowerShot G7 X Mark II。1インチ CMOS を備えた小型ハイエンド・コンデジの中でも大ヒット製品となった G7 X の二代目が、横浜 CP+ での展示を経て、遂に登場した。以前G7 X ユーザーだった当方としても、非常に気になる新機種、早速近所のカメラ店店頭で、その進化ポイントを現場でチェックしてみることにした。
新旧二台を並べて気づくのは、なんとロゴ位置の変更。G7 X のロゴが、先代ではフロント下部に、新機種 Mark II では上部に。同じ機種名を持つ新旧世代間のロゴ位置変更は珍しいのではないだろうか。一方で、Mark II の文字は前面には見当たらず、天井部に薄く記述されているだけである。控えめといえば控えめな、新機種アピール方法。
そして外見上、誰でも最初に目に入る大きなデザイン変更は、グリップの追加。以前の機種でも、当方は両面テープで装着する小さなゴムグリップを取り付けて利用していたので、この変更は嬉しいところ。更に良く見ると、コーナーの面取りが変わっている。狭い丸型のコーナー・デザインが、広めの面取りに変わり、これも全般的な握り易さに貢献しそうだ。エルゴノミクス・デザインが新機種では多く採り入れられた、ということだろうか。この変化に伴い、ボディ表面の材質も変わっている。先代の方が高級感ある素材にも見えるが、Mark II は滑りにくさ、では上と言えるだろう。ぱっと見では以上の変化が施されている事が、わかるが、詳細に眺めると更に多くの発見が。
上から見ると、いくつかまたデザイン変更点が。上記の面取り変化にあわせて、フラッシュ形状は左上角が丸くなる形に。さらにポップアップしてみると、少しフラッシュ位置が前進している。これは発光時の光の蹴られを防ぐ対策なのだろうか。そして理由は不明だが、軍幹部右手に、マイク部分を少し盛り上げる様に斜めの線が引かれた。指先でその下の電源ボタン位置を探すには、良い導線となっている。
更に、当方的には地味な変更なれど一番注目したのだが、右手のモードダイヤル・露出補正ダイヤル設置位置が、新機種では若干後ろ目になっている。ダイヤルのクリック感も、ややスムーズ目となり、親指の腹での回し易さが著しく改善した。フロント部にグリップを搭載したので、後ろの部分の構造は逆にスリム化し、握り易さアップ。これは是非新機種テスト時に触ってチェック頂きたい重要な変化だ。撮影時、最もハイアマチュア・ユーザーが利用しそうな露出補正ダイヤルの使い勝手に大きな改善が加えられているのは有難い。
Mark II の進化はまだまだ続く。先代では上にしか開かなかった背面液晶が、引き出して、下向きにも動く様になった。ハイアングルからの撮影が、これで非常に実行し易くなっている。この改善を行いながら、レンズ先端部までの厚みで比べると、それほど大きくなっていない点は流石だ。ここまで違うと、Mark II というよりは G8 X と呼びたい位の進化があると言って良いのかもしれない。
新旧本体をいじり回しているうちに、もうひとつ大きな変更に気づいた。レンズ下の、この斜めに切られたボタンは何だろうか!?操作してみてわかったのだが、レンズ周囲にあるコントローラーリングのスムーズ / クリックを切り替えるスイッチだった。フォーカスリング的に使う際にはクリック感をなくしてスムーズに。絞り優先モードで絞りを変える際には、あえてクリック感を持たせて。この操作感変更をシンプルに行える機構は素晴らしい。そして、コントローラーリング周囲のローレット(ギザギザ)も、より細かく、高級感のあるデザインに変更されているのである。各所なかなか、芸が細かい。
大きな変更点は以上でほぼカバーしたが、右側面にもマイナーだがデザイン・チェンジを発見。これは、新機種が USB 充電に対応した(ブラボー!)事にもよるのだろうが、USB 部分の端子だけを開けられる別蓋構造になった。利用頻度が多い蓋部分なので、これも良い変更と言えるだろう。そして、その下の WiFi 起動ボタンのデザインが、スマホ・マークから、電波を模したマークに変更。スマホだけではなく、固定 WiFi 基地局につなぐ事もあるだろうから、この変更が正しいのだろう。側面から見ると、控えめな突起に見えるグリップ部だが、その握り心地は非常に良い。いやしかし、よくまあこれだけの改善を Mark II に与えたものである。全く新しい筐体を作り上げた、と断言しても良いだろう。
進化は外見だけに留まらず、勿論中身にも。夜景撮影に便利な裏面照射型の CMOS に変更され、映像エンジンも DIGIC 6 から DIGIC 7 にアップグレードされている。夜景でのノイズ除去能力が向上し、手振れ補正の効きも3段から4段分に。試しに開放 f1.8 の広角端で、先代と新機種 Mark II を撮り比べてみたが、ボケ味の出方も全く違う。これも映像エンジンによるものなのだろうか。それともレンズに多少の変化が加えられたのだろうか。開放絞りでの新機種のボケ味が、あきらかに味わいの高いものに変わっている。これも店頭チェック時には是非 A モード(絞り優先モード)にセットして、確かめて頂き度い部分だ。
そして、実際に撮影してみると分かるのだが、シャッターボタンにも外見だけではわからない大きな改善が加えられている。比較的弱い圧力でシャッターを押し下げても、パシャっと稼働する。半押しの感覚がその分先代より薄くなっているが、このフェザータッチなシャッターボタンは、スナップを連続撮影するには強い味方だ。シャッターチャンスを逃しにくくなる。AF が高速であるからこそ出来る変更であると言えよう。
以上、まずは店頭で目に付いた変更点を探ってみたが、正直驚くほど良くなっている。発表されたばかりで、まだ税込実売7万円台半ばの値付けだが、7万円を切ったあたりで相当人気が出てきそうな予感がする。PowerShot G7 X Mark II という名前の、実は全くの新機種。これにはCanon 技術者のデザイン魂を感じた次第。買って損は無い感じです。
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