レビューに入る前に、御一読頂き度いのは、ATOMOS DESIGN 児玉さんによるエントリー、「ファブレット+スマートPC という未来」。MacBook 12インチは、そのやや非力な CPU の採用、そして USB-C への端子集約等から、どうしても既存ラインナップの MacBook Air と比較され、疑問視される事も多かった。しかし、このエントリで述べられている通り、ファブレットがスマホの主役となる時代のコンパニオンとしての「SmartPC」としての役割がこのマシン、とポジショニングすると腹落ちする。
モバイル環境で生産性を上げる為に必要だったのは小型スマホとタブレットの組み合わせでは無く、ファブレットと薄くて軽くて電池が長持ちする、SmartPC だったのだ。タブレット用の薄いキーボードを探しては機能的な不十分さを感じる事が多かったが、それは母艦が画面タッチ操作基本の「タブレット」だったからと悟った。タブレット並みに薄く、電池が長持ちし、キーボードとトラックパッドで自由に使える SmartPC の究極の姿が MacBook 12インチだったのだ。
いきなり結論に行き着いてしまった様だが、MacBook 12インチの性能を実際に触って確かめてみる。まずは、これも話題となりがちな浅いストロークのキーボードと、感圧トラックパッド。短い時間しか使っていないので、これを結論にしたくは無いが、 かなり指先に力を入れて打鍵する当方としては、このキーボードには未だ慣れ無い。フェザータッチのキーボードなので、力を抜いて打鍵すれば心地よいのだろうが、すぐにこれまでのスタイルを変えられず、結果としてやや硬い板を打っている感じとなり、2時間ほど使うと指先が少し痛くなった。
キーボードについては、この薄さを実現する為にはこうするしか無い、という技術上の理由は良く理解出来るのだが、慣れるにはしばらく時間がかかりそうだ。以前の山型のキーボードから平たいキーボードに移行する時もいつかは慣れた様に、時間をかければ慣れるのであろう。この薄いキーの一つ一つに LED バックライトを入れた努力も大変なものだ。
そして想定外というか、意外な発見で嬉しい驚きだったのは、MacBook 12インチの内蔵スピーカーの優秀さ。これまでは MacBook Pro / Air で、やや平板と感じていた内蔵スピーカーの音圧が上がり、そして音の立体感もよりダイレクトに感じられる様になった。キーボード上のヒンジ部の手前に内蔵スピーカーが隠れているのだが、これなら出張先に外部接続スピーカーを持って行かなくて良いと思える、納得の音。こんな所にも手を抜かない、というか進化させている Apple は、流石としか言いようが無い。
外部端子を USB-C ひとつに集約した点は、これまでの資産を活用出来ないという点では異論も勿論あろうが、これも SmartPC としてのシンプルな割り切り、と考えれば納得が行く。周辺機器との接続は極力ワイヤレスで、リソースはクラウドに置いて。
かつてクライアント・サーバ・コンピューティング全盛時代に "Thin Client" と、あまり重要性を置かれずに呼ばれていた端末が、"Smart Thin MacBook" として、突然目の前に現れたのである。Apple は常に未来思考。半年〜1年ほど経つと、Smart Watch - Phablet - SmartPC がクラウドのリソースをモバイルから自由にワイヤレスで使う新時代が来ている事を、我々は更に実感する事になるのだろう。Steve と、その DNA を継ぐ全てのアップル社員の皆様に感謝。(写真は当方が最後に Steve Jobs の姿を直接見た、D8 のカンファレンス。2010年6月、 LA の Terranea Resort にて。)
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