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2015年4月12日日曜日

[Review] 極薄 SmartPC としての Apple MacBook 12 inch、ファースト・レビュー

Apple が初期店頭在庫の数を十分に用意しなかった(出来なかった!?)新しい MacBook 12インチ。話題としては新規商品ジャンルでより注目度が高いウェアラブルの Apple Watch の陰にやや隠れる形となってしまった。しかし当方は発売後二日目となる4月11日、苦労して 薄い量販店在庫を探り当てた。二日間とまだ短期間だが、利用してみての率直な感想をメモして置く。
レビューに入る前に、御一読頂き度いのは、ATOMOS DESIGN 児玉さんによるエントリー、「ファブレット+スマートPC という未来」。MacBook 12インチは、そのやや非力な CPU の採用、そして USB-C への端子集約等から、どうしても既存ラインナップの MacBook Air と比較され、疑問視される事も多かった。しかし、このエントリで述べられている通り、ファブレットがスマホの主役となる時代のコンパニオンとしての「SmartPC」としての役割がこのマシン、とポジショニングすると腹落ちする。

モバイル環境で生産性を上げる為に必要だったのは小型スマホとタブレットの組み合わせでは無く、ファブレットと薄くて軽くて電池が長持ちする、SmartPC だったのだ。タブレット用の薄いキーボードを探しては機能的な不十分さを感じる事が多かったが、それは母艦が画面タッチ操作基本の「タブレット」だったからと悟った。タブレット並みに薄く、電池が長持ちし、キーボードとトラックパッドで自由に使える SmartPC の究極の姿が MacBook 12インチだったのだ。

いきなり結論に行き着いてしまった様だが、MacBook 12インチの性能を実際に触って確かめてみる。まずは、これも話題となりがちな浅いストロークのキーボードと、感圧トラックパッド。短い時間しか使っていないので、これを結論にしたくは無いが、 かなり指先に力を入れて打鍵する当方としては、このキーボードには未だ慣れ無い。フェザータッチのキーボードなので、力を抜いて打鍵すれば心地よいのだろうが、すぐにこれまでのスタイルを変えられず、結果としてやや硬い板を打っている感じとなり、2時間ほど使うと指先が少し痛くなった。

キーボードについては、この薄さを実現する為にはこうするしか無い、という技術上の理由は良く理解出来るのだが、慣れるにはしばらく時間がかかりそうだ。以前の山型のキーボードから平たいキーボードに移行する時もいつかは慣れた様に、時間をかければ慣れるのであろう。この薄いキーの一つ一つに LED バックライトを入れた努力も大変なものだ。

一方で、最初は違和感も感じた感圧トラックパッドの利用には、すぐ慣れた。ガラス タッチパッドを下方向に押し込む動作の感触を振動で擬似的に作り出しているというのだが、何度使っても本当に下向きに押し込んでいる様な錯覚がある。Apple Watch でも、相手にメッセージ到着時の振動を腕に伝える機能が Taptic Engine と呼ばれる同様の仕組みで実現されて居り、いずれ MacBook もそのコミュニケーションの仲間に入る、という事なのだろうか。端末種類を超える新しい非言語メッセージング手法が、色々生み出される事になりそうだ。

数時間連続して使ってみて、これまでの MacBook と大きく違うと気づくのは、長く利用しても本体が熱くならない、そのクールさ。Core M 1.1GHz とやや非力にも見える CPU を利用し、MacBook で HDD と並んで壊れやすい部品だった空冷ファンを省く事が出来た。それでも、これだけの薄さに多くの電池を並べて入れているので、もう少し発熱するのでは、と思っていたのだが、液晶側も本体も、クールさを保ち続ける。これは凄い事だ。SmartPC たる所以がこの「常に平熱」を保つボディにも感じられる。

そして想定外というか、意外な発見で嬉しい驚きだったのは、MacBook 12インチの内蔵スピーカーの優秀さ。これまでは MacBook Pro / Air で、やや平板と感じていた内蔵スピーカーの音圧が上がり、そして音の立体感もよりダイレクトに感じられる様になった。キーボード上のヒンジ部の手前に内蔵スピーカーが隠れているのだが、これなら出張先に外部接続スピーカーを持って行かなくて良いと思える、納得の音。こんな所にも手を抜かない、というか進化させている Apple は、流石としか言いようが無い。

外部端子を USB-C ひとつに集約した点は、これまでの資産を活用出来ないという点では異論も勿論あろうが、これも SmartPC としてのシンプルな割り切り、と考えれば納得が行く。周辺機器との接続は極力ワイヤレスで、リソースはクラウドに置いて。

かつてクライアント・サーバ・コンピューティング全盛時代に "Thin Client" と、あまり重要性を置かれずに呼ばれていた端末が、"Smart Thin MacBook" として、突然目の前に現れたのである。Apple は常に未来思考。半年〜1年ほど経つと、Smart Watch - Phablet - SmartPC がクラウドのリソースをモバイルから自由にワイヤレスで使う新時代が来ている事を、我々は更に実感する事になるのだろう。Steve と、その DNA を継ぐ全てのアップル社員の皆様に感謝。(写真は当方が最後に Steve Jobs の姿を直接見た、D8 のカンファレンス。2010年6月、 LA の Terranea Resort にて。)








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