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2015年4月6日月曜日

[レビュー] Olympus Air で、カメラ本体は空気の様な存在に

最初、その製品を知った時には、「まあ、Sony のレンズ型カメラシリーズの二番煎じでしょう」程度の感想で、大きな期待を持っていなかった。というのは、Sony の QX-10 をしばらく使ったが、十分活用しきれなかった、という感想を持っていたからだ。Olympus が、オンライン販売のみでの販売を始めた、オープンプラットフォーム・カメラ Olympus Air A01 の外観は、Sony 製品の流れを組むものに見えた。レンズ交換式ではあるが、これも Sony の QX1 が先行している。

ネットで製品紹介ページを読んでみても、その違いを理解することは難しかった。しかし、猫写真家の荻窪圭さんによる A01 レビュー(ITmedia デジカメプラス記事)を読んでみて、ようやくその独自の面白さを理解。マイクロフォーサーズシステム (m4/3)が得意とする小型レンズを、A01 の小型筐体に装着する事で、超小型カメラシステム独自の様々なレンズを日常携行して、自由な撮り方を創造して行く、そういう姿勢で楽しめるのだと伝わって来た。Sony の QX1 より一回り小さい、そこがひとつ重要。

ということで早速、Olympus のネットショップで注文。数日で本体が届いた。なかなかカチッと出来ていて、光沢仕上げも有りモノとしての魅力も十分。底面の裏蓋の構造が少し華奢であったり、電池交換は出来にくい仕様である点は次のモデルでの改善をお願いしたいところだが、全般に満足出来る高品質さだ。

手持ちの iPhone6 Plus との接続は、基本アプリの OA.Central をダウンロードすると、あとはスマホの画面の手順に従って行くだけで設定が可能になる。先に購入した Casio ZR1600 と同じで、Bluetooth x WiFi 双方を利用した、Bluetooth Smart 常時接続を起点とする WiFi 無線コネクションが必要となる。Bluetooth の接続は問題無く進むが、WiFi 接続に関して iOS ユーザーは Android と違い、スマホ本体が他の WiFi と接続されている場合には、一般メニューからの手動による接続先変更が必要。その点さえ気をつければ難しい点は無い。

早速使ってみると、Sony QX シリーズとの違いですぐに気づくのは、シャッターボタンの大きさと位置。QX 10 では丸く小さい側面シャッターだったが、A01 では楕円形で大きなシャッターボタンが、三脚穴とは逆位置の天井面に設定されている。

これが、実は使いやすい。形状が大きくどの方向からでも押しやすい事は勿論、上部に設定されているので、カメラ感覚での利用がしやすいのだ。シャッターボタンはやはり上から下に押したい、それがカメラマンの習性。最近発売された Canon の PowerShot N2 も、セルフィーを撮影し易く面白いカメラだと思ったが、初代 N と同様の構造の、リング上の360度どこからでも押せるシャッターが、少し当方には使いづらかった。

A01 のシャッターは、この種のものとしては抜群に押しやすい。そこでまずは愛着が湧くのである。スナップ用途で、スマホとつながず単体で使う際にも、電源ボタンを押してすぐにシャッターが切れる。そして、AF が最近の Olympus の AF に採用されている FAST AF で、文字通り速い。バカッ速と呼べるほど。なので、電源を入れて、AF を決めて、気持ち良くシャッターを切る、この一連の流れが実にスムーズなのである。AF に迷いが無い。スマホを接続する前から、すっかり A01 が気に入ってしまう。

そしてスマホをつないでさらに驚愕。例えば m.Zuiko 40-150mm f2.8 Pro  の様な望遠ズームを接続して(右の写真の通り、実際に装着してもカメラ本体というより、倍率を上げるテレコンバーターにしか見えない点はご愛嬌)スマホにつないで、スマホ画面のリモート映像でピントを合わせたいところをタッチするだけでも、ピッと AF が合う。このサクサク感は素晴らしい。フルサイズ換算 300mm 相当の望遠レンズで、この小さなカメラボディで、瞬時に AF 合焦出来てしまう!!レンズ型カメラだから、という妥協が無く、オリンパスの最新技術が奢られている、と実感出来る。さらなる高みを望遠レンズで目指したい方は、Daiy Portal Z、じゃなかった、デジカメ Watch の切り貼り実験室の記事をご参照。

純正アプリ系も充実していて、OA.Central 経由でダウンロードすべきアプリが全てみつかる。詳細はこちらのリンクを参照頂き度いが、特に素晴らしいのは、OA.ModeDial というアプリ。(ちなみに、この OA なんちゃら、というネーミングはもう少しシンプルにわかり易くした方が良いと思うのだが。)これを利用すると、ほぼオリンパスのデジタル一眼の基本機能が使える様になる。

デジタルテレコン機能もあって、機能ボタン一押しで 2x - 3x の拡大画像にサクサク切り替わる。A モード(絞り優先)にして、このテレコンを活用すると、オールド・レンズを装着してマニュアルフォーカス、という作業も楽々。詳しくはこちらのデジカメウォッチの伊藤浩一氏レポートを参照頂き度い。m4/3 でオールドレンズ(沼)遊びをされている方なら、この使い方はどっぷりはまれるはず。なにしろシステムサイズが小さくて済む。

当方は、今週末はオールドレンズを試写するところまでできなかったので、とりあえずは魚眼の Olympus 製ボディキャップレンズ、9mm f8 BCL-0980  (超広角 18mm 相当、対角魚眼)を装着、それをベルボンの超小型セルフィー棒、ウルトラスティックセルフィーに取り付けて、まずは中野通りから新井薬師の桜見物に利用した。作例はこちらの flickr album を参照頂き度いが、MF レンズながら魚眼なので、フォーカスをあまり気にせず気軽に撮れる。桜を眺めている自分を桜越しに上のアングルから、というのはこの組み合わせならでは、だ。もはや自撮りとは気づかれない様な(笑)アングルでの撮影も可能になる。

その他、薄型パンケーキ・レンズでキレの良い画像を撮影出来る Panasonic Lumix G 14mm f2.5 (広角 28mm 相当)での撮影作例も、こちらの flickr アルバムに置いているので参照頂き度い。ともかくも、使っているうちにその空気の様なカメラボディの存在を忘れてしまう程、超小型でモバイル環境で楽しめるレンズ型カメラである。しばらく常時携行して、様々なレンズとともに使ってみたい。






















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