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2017年8月6日日曜日

[レビュー] Canon EOS 6D MarkII と EF 40mm f2.8 STM レンズの組み合わせで HDR 撮影

EOS 6D Mark II のファースト・レビューを一通り終えた(詳細はこの前のエントリーご参照)ところで、HDR 撮影をまだ試していない事に気づいた。初代 6D よりもエフェクトの種類が増えた HDR、これは実写してみるしかない。しばらく高品位ながら重い (1kg 超)の SIGMA レンズを装着して移動していたので、今回は超軽量・薄型の Canon 純正のパンケーキレンズ、EF 40mm f2.8 STM レンズを装着し、スナップ・スタイルに変身させてみる。レンズを付け替えるだけで、カメラ全体の印象は大きく変わる。なにしろ、レンズの厚みは 2cm 余りの薄さ。重さも 130g しかない。カメラ本体だけを持っているのかと錯覚してしまう小型軽量さだ。

初代 6D の頃からこの組み合わせを愛用していたが、デジイチをハンディに持ち出せるこの組み合わせは、鞄への収まりも良く、どうしても高精細な表現が可能なフルサイズ・デジイチを持って出かけたいが荷物の嵩張りは避けたい、という時には大変便利なコンビだ。

純正レンズ故、レンズ光学補正機能もデフォルトで働いている事を確認出来る。追って作例写真も紹介するが、写りはこの大きさとは信じられない程しっかりとシャープだ。円形絞りの効果で、背景の点光源も美しくボケる。

本レンズで一つ惜しいのは、標準レンズに近い焦点距離 40mm で、広角の画角がちょっと足りない事。少し大きくなっても良いので、28mm or 35mm 位の画角があると、常時装着スナップ・レンズとして完璧だ。パンケーキレンズのラインナップ強化は、是非 Canon にも検討して頂きたい。ちなみに、形が似ている EF-S 24mm f2.8 STM レンズは、 EOS 7D や 80D 等 APS-C CMOS のカメラに対応するレンズでフルサイズ用では無いので、注意が必要だ。

さて本題の HDR。撮影メニューの3番目から下にスクロールすると、「HDR モード」メニューが。こちらを展開し、D レンジ調整を HDR 自動か +/- 1〜3(プラス・マイナスする露出段数)に設定すると、HDR モードがオンになる。

一度撮影すると自動で HDR をオフにすることも、撮影を継続することも、メニューから設定可能だ。露出アンダー/標準/オーバーの3枚連続で撮影後、画像の微妙なズレを自動で位置調整してくれる機能もあるので、手持ちでの撮影も可能になっている。仕上がり効果は、5種類のエフェクトから選べる様になっている。ビンテージ調というのは、Olympus のアートフィルターで言うと「ドラマチックトーン」の様な仕上がりを期待出来る。一方で、油彩調では Pentax のデジタルエフェクトの「水彩画」の様に手書きの絵ソックリにはならないので、その点は実機で確かめて頂き度い。

いくつか HDR で撮影したが、その効果を最も実感出来るのは、相当な暗がりとあかりが混在するシーン。こちらの作例写真の flickr アルバム中、裏路地で提灯を撮影した写真を比較すると、標準で撮影した場合と、HDR (ナチュラル・自動)で撮影した場合の違いを、明確に実感頂けると思う。

こちらの作例写真アルバムでは、動画撮影も試してみているので、是非そちら(電車の動画)も視聴頂きたい。重いファイルになる 4K 動画機能は、普通に PC/Mac で再生する分には必要無いかも、という気持ちになりつつある。






[レビュー] 新登場フルサイズ・デジイチ Canon EOS 6D MarkII は 6D 初代ユーザーにもメリットの大きい新機種と実感

5年ほど前に発売された Canon EOS 6D 初代は、アクシデントで壊れる事があっても再び導入した位、気に入って使っていたフルサイズ・デジタル一眼レフだった。レンズ交換可能なデジタルカメラは、殆ど全てのカメラ・メーカーのものを利用してみたのだが、結局仕事でも使える、本体重量が軽くて使いやすい機種は 6D だった。多くのデジカメが、その機能検証を終えて手元を去って行く中で、いぶし銀の単独トップとして、デジタル・ベアーズ・デジカメプロチームの核として、活躍を続けてくれていた。

しかしその一方で、他社の最新フラッグシップ機種が撮影に便利な最新機能を物理的にも、ソフトウェア的にも数ヶ月単位で追加し、バージョン・アップを重ねる中で、6D 初代を仕事上で使い続けるには、いくつか問題も出て来ていた。最も困っていたのは、背面液晶を利用したライブビュー撮影時のピント合わせ。6D 初代発売当時は、光学デジイチでライブビュー撮影が可能なだけで凄い、という評判だったが、今となっては致命的に遅い合焦スピードが、撮影時に苦になっていた。昔のデジカメ AF の様に、フォーカスを前後にゆっくり行ったり来たりさせて、ピント合わせに数秒(!)を要するというのは、さすがに撮影現場では厳しい。殆どの撮影は光学ファインダーで行うにしても、ハイアングル撮影など、どうしても背面液晶で撮影せざるを得ないシーンというのは、生じてしまうのである。

そして先日発売開始された Canon EOS 6D MarkII は、漸くその遅さを改善してくれた。最近の Canon デジイチに導入が進む、撮像面位相差AF技術デュアルピクセルCMOS AF が採用された事で、高速かつスマートなピント合わせが可能になった。スマート、というのは、デフォルト設定の顔+追尾優先 AF で撮影すると、写したい対象をタッチ液晶(これも嬉しい変更の一つだ)上で指先でクリックするだけで、すぐに自動追尾撮影を始めてくれるのである。Canon のコンパクト・デジカメでは当たり前だった機能が、可動液晶画面とともに上級機である 6D MarkII にも移植された事で、本機が狙う広いユーザー層を理解する事ができる。

物理ボタンの配置も、一見初代と同じに見えるが、実は変更がいくつか行われている。当方が気に入ったのは、シャッターボタン左横に小さく、測距エリア選択ボタン、が移されたこと。これまで親指で押す背面にあったボタンが、一部機能は背面に残しつつ、人差し指で操作出来るこの場所に移されたことで、AF エリア変更が非常にやり易くなった。他社製デジイチは背面にジョイスティックを装備する事で AF エリア変更を可能としていて、これはこれで便利ではあるが、実はシャッター横で人差し指で操作できるとそれはまた軽快に扱えるのだ。6D MarkII の場合、45点のピント範囲が中央に寄っている事もあり、このボタンとその横のダイヤル操作で、光学ファインダー上に赤い液晶表示でオーバーレイさせる AF ポイントやピント範囲を、自由に移動させる事が可能になる。これはぜひ手に取って試して頂きたい部分だ。

手が大きめの当方としてもうひとつ嬉しいのはグリップの大型化。初代より深いグリップになって、片手で持ち易くなった。それでも SIGMA の明るい 24-70mm f2.8 DG ART レンズ(当該レンズのブログ・レビューは以前のエントリーをご参照)装着では重さも感じるが、軽いレンズを装着すると、デジイチオペレーションが気軽にシングル・ハンドで行える様な、握りの良さなのである。(手が小さめの方には、やや大きすぎると感じられる事もあるかもしれないが。)

外見では気がつきにくいが嬉しい変更は、何といっても映像エンジンが最新 DIGIC7 になったこと。これで常用感度 ISO 40,000 までの対応が可能になった。連写速度もフルサイズで秒6.5 コマに。高速なレースカーでも撮影しないのであれば、連写機能はこれで十分。内蔵マイクも初代のモノがステレオ対応になって、動画は 4K 対応はタイムラプス動画しかないものの、HD 60コマ・秒には対応し、十分実用的。個人的に驚いたのは、レンズ光学補正機能を試してみると、SIGMA が最近発売した 24-70mm f2.8 DG ART の補正にも対応していた事。

ジェットダイスケさん指摘で、実は初代もその機能があるはず、と初代にも装着してみると、これまた同レンズへの対応が初代 6D の背面液晶画面でも表示された。ふむ、と思って 今度は同じ SIGMA 社製の単焦点 24mm f1.4 ART を装着してみると、これは焦点距離は認識されるものの、各種光学補正には非対応の表示。それは初代 6D でも MarkII でも同じだった。ということは、レンズ側で対応・非対応の設定が変わるのだろうか。24mm もファームアップすれば認識されるのだろうか。メーカーからの正式発表はまだ無い様だが、ここはもうちょっと調べてみたい。いずれにせよ、他社製交換レンズの光学補正にも対応してくれるなら、それはそれで嬉しい事なのだが。

GPS は日本のみちびき、そして米・ロシア3種類の衛星に対応して精度をアップ、カメラ本体時計の時刻合わせも行える様になった。電源オフ時でも一定間隔で作動させる事が可能な GPS ロガー機能は、実は初代にも装備されていた様なのだが、GPS 機能は電池を食うだろう、ということで初代では殆どオフにしていた。3種の衛星対応で位置精度も上がったとの事なので、次の旅では活用してみたい。電池は初期キャンペーンではストラップ、SD カードとともに無料で頂ける様なので、予備電池の心配もしなくて済みそうだ。

その他、細かい変更では左肩のモードダイヤルのモード表示が単なる印刷でなく凹凸のあるものになったり、前面の EOS ロゴ表示は逆に白い印刷文字に変わったり。背面のマルチ電子ロックスイッチも、初代の横スライドスイッチから、レバー型に変更されている。HDR 機能は初代では強さを調整するだけだったが、MarkII ではグラフィック、油彩、ビンテージといった画像効果も加えられる様になった。これも今後実利用で試して行く事にしたい。

とりあえずはいつもの中野の裏路地夜景撮影と、昼間は「阿佐ヶ谷七夕まつり2017」の様子を撮影してみたので、EOS 6D MarkII と SIGMA 24-70mm f2.8 DG ART の作例写真として、こちらの flickr アルバムを参照頂きたい。まだ2日間の利用だが、初代 6D を使っていたユーザーには、そのままの操作感+高速な AF で、存分に活用できる新型、という事を実感出来た。