米国出張から帰国直後の時差ぼけで午前3時に起きてしまった事もあり、今回のシリコンバレー行きで見た、最新ドローンのまとめを以下につらつらと。
・子供用玩具としてのドローンは大きな市場を形成しつつあり、カードサイズの超小型から両手を広げた大型機まで、量販店の棚は訪問の度に広がっている。カメラ付きの機種も多数見られるが、屋内用主体で、モーターが弱かったり、カメラ仕様が今ひとつだったり。価格は US$40 - 200 程度。
・風が強い屋外で飛ばす事が出来、アクティブカメラ搭載可能でカメラ画素数が高く、モーターも強力で各種センサーを内蔵する本格ドローンは、日本でも見かける事が多い中国・深圳市本社の DJI 社に加え、Apple Store や Brook Stone での販売に注力するフランス・パリ本社(上場企業) Parrot 社、 Fry's 等量販店で大きな専用販売コーナーを構え始めた米国カリフォルニア州バークレイ本社の 3D Robotics 社(以下 3DR) 等が目立つ。
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当方も今回購入した Bebop Drone を開発・販売する Parrot 社は、iPhone や Android 等のスマホで気軽に操作可能なコンシューマー・ドローン開発を得意とする企業。同社の存在を世界に知らしめた
AR Drone シリーズ、玩具用で US$ 99 で買える超小型
Minidrone Rolling Spider、高性能前面カメラを内蔵しながら価格を US$ 499 に抑えた上級機 Bebop Drone と商品ラインナップを順調に広げている。本体に多種のセンサーを内蔵する Parrot は、超小型で玩具タイプの Minidrone でも他社製品とは一線を画して居り、自動ホバリング機能や解像度は低いものの底面カメラ搭載も実現している。
・Parrot Bebop Drone は当方も実際に購入し、
米国サニーベール海沿いで、人気が少なく見渡しの良い公園、Baylands Park で初飛行させてみた。
専用の WiFi 無線操作用 Skycontroller も US$ 399 で別売して居り、これを利用すれば 2km 迄 WiFi レンジを増幅(カタログ値)する事も可能だが、気軽に楽しむには無線到達範囲は狭くなるが、スマホやタブレットに
専用アプリ FreeFlight3 をダウンロードし、日常利用するモバイル端末からの操作も可能。前後左右に回転させる簡単な微調整(キャリブレーション)を行えば、専用充電池を背面に接続し、Ready to take off。
・離着陸時の自動制御、底面センサーによる目の高さでの自動ホバリング、圧力センサーによる高度制御、GPS による WiFi 電波から外れた際の離陸場所自動回帰機能など、まずは安定した飛行を実現する各種電子制御の精度の高さに驚かされる。スマホやタブレット内蔵加速度センサーの傾きをリアルタイムに伝え、スマホやタブレットと同様の姿勢を機体が取る為、初心者でも容易にドローンの無線操縦を行える。
・中学生の頃、長時間かけてやっと組み立てたエンジン付きラジコン飛行機を、離陸後わずか数十秒で落下・破損させたという苦い経験を持つ当方でも、Bebop Drone は楽々操縦可能であった。ただ、予想以上にスピードが出る為、30メートル以上離れると木々等障害物との距離感が取りづらくなり、当方も 3m 程の木の枝にひっかけてしまい下ろすにひと苦労、或いは木に激突して落下させる(プロペラを1つ破損)という事態にも見舞われた。しかし Bebop Drone の機体が軽量 (約400g) である為、落下や激突によるダメージは意外に少ない、というのは幸いであった。(ちなみにプロペラは予備が前後2枚ずつあるので、即修復可能となった。)
・Parrot Bebop Drone 内蔵カメラもまた、高性能。180度魚眼レンズの画像を電子的に切り出し歪み補正を瞬時に行い、カメラを上下左右自由にスマホ画面右側のバーチャルスティックで動かす事が可能で、飛行中の動画をスマホに転送してくれる。動画は Bebop Drone 内蔵 8G メモリーに記録され、帰還後スマホやタブレットに FreeFlight3 アプリ経由 WiFi 転送が可能だ。初飛行の様子を記録した動画(
外部から撮影した動画、
機体内蔵カメラから撮影した動画)を参照いただければと思うのだが、カメラの安定性は想像以上。500ドル程度の端末で、物理的ジンバルも無く電子制御でここまで Full HD 動画を撮影出来るのか、という満足の行く出来であった。ちなみに静止画撮影も可能で、録画を続けながらアプリ右上のシャッターボタンを押す事で静止画が切り出される。日本市場での正式発売はこれからの様だが、期待して良いホビー・ドローンである。
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Bebop Drone は、ビデオ・マニュアルも充実している。その分、本体付属の紙マニュアル類はほぼ無いので、ネットを使いこなすギーク・ホビー・ユーザーをまだ対象としている製品、という位置づけなのであろう。(当方を含む。)アプリダウンロードから、実際の飛行、別売りスカイコントローラーの操作方法まで、詳しく動画で解説されている。ちなみに、スカイコントローラーは大き過ぎるが物理リモコンが欲しい、という向きには、
NVIDIA 社の SHIELD PORTABLE という Android OS 内蔵小型ゲームコントローラーを購入すると、
それでも操作が可能となる様だ。詳しい設定は
こちらのフォーラムで。
・US$ 750 という価格で、アクションカメラ GoPro 搭載時のブレ防止用のジンバルを底部に備えた
3DR 社の IRIS+ は、Amazon 等が計画するコンピューター制御ドローン時代の到来を、現実に感じる事が出来る製品。単にカメラを搭載しただけではなく、Android (IRIS+ アプリはまだ iOS に対応していない様だ)スマホ・タブレット上アプリ地図に指で描いた軌跡の自動飛行、撮影者の Android GPS 自動追尾・撮影(カメラ中央に被写体をポジショニングしてくれる)機能が備わっている。
詳しくは同社のプロモーション動画をご覧頂きたい。コンシューマー向け販売も行っているが、プロ用途に応え得る機能性の高さを持っている。
・以上の通り、2014年12月に発売されたばかりの最新機種 Bebop Drone の飛行を実体験し、今後開発される新商品群の動向を眺めると、ドローン市場はコンシューマー向けからプロ向け迄、急速に広がりを見せている事を実感出来る。法整備は、米国では進んでいる(飛行場から5マイル以内の飛行は禁止、国立公園での飛行も禁止、など)が、
日本市場ではこれから、だ。
米国ではホワイトハウス敷地内に DJI 機が落下する等の事件も起きて居り、今後更に法整備が進む事で、市場が急拡大すると思われる。注目は、空撮が必須となる建設現場や農場等での利用が必須となる B2B 用途のドローン。世界中で相当数のスタートアップが創業されて居り、Angel や VC による初期投資も盛んとなっている。数年以内に大きな産業となる事が見込まれる分野で、今後とも注目したい。IoT に注力する日本企業の活躍も期待したい分野である。
・尚、ドローン関連の当方撮影動画・写真は
こちらの flickr album リンクを御参照。ドローンの真価を理解するには実際に飛ばしてみる事がおすすめ。まずは日本国内でも手に入れ易い
Parrot の Minidrone Rolling Spider あたりを居間でホバリングさせてみること、おすすめです。ここ数年の進化に驚く事請け合い。
兵器利用されることには注意が必要なドローンですが、ホビーとしてのドローンは実に楽しい!!!、というデジクマの結論でした。
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